目次

はじめに

「問題集を何冊も買っているのに、成績が上がらない」

「一冊終わったので次の問題集を買ったけれど、テストの点数が変わらない」

「たくさん問題を解いているはずなのに、同じような問題を何度も間違える」

家庭学習に熱心に取り組んでいる子どもや保護者から、このような悩みを聞くことがあります。

書店には、さまざまな問題集が並んでいます。

基礎を確認するための問題集。

学校の定期テストに対応した問題集。

応用力を高めるための問題集。

高校入試に向けた問題集。

それぞれに特徴があり、目的に合った教材を選ぶことは大切です。

しかし、問題集を何冊も購入すれば、それだけで成績が上がるわけではありません。

例えば、数学の問題集を三冊終わらせた子どもがいたとします。

一見すると、かなりの学習量です。

ところが、間違えた問題を確認せず、解説を読んだだけで次へ進んでいた場合、苦手な部分が残っているかもしれません。

一方、一冊の問題集を使い、間違えた問題を繰り返し確認しながら、少しずつ自力で解ける問題を増やしている子どももいます。

この二人を比べたとき、必ずしも三冊終わらせた子どものほうが高い成果を得られるとは限りません。

重要なのは、何冊の問題集を使ったかではありません。

問題集を使って、どれだけ自分の力で解ける問題を増やせたか。

この視点が必要です。

今回は、問題集を何冊やっても成績が伸びない子どもの特徴と、家庭学習で問題集を効果的に活用する方法について考えていきます。


1.問題集を何冊もやっているのに成績が伸びない理由

問題集を終わらせることが目的になっている

問題集を使った学習では、「一冊終わらせる」という目標を立てることがあります。

目標を持って学習すること自体は大切です。

しかし、一冊終わらせることだけが目的になると、理解が不十分なまま次へ進んでしまうことがあります。

例えば、毎日三ページずつ問題集を進めると決めた子どもがいたとします。

その日の問題が難しくても、三ページ終わらせることを優先する。

間違えた問題があっても、答え合わせだけで終わらせる。

そして、予定どおり進んだことに満足する。

この方法では、学習量を確保できても、苦手な部分が十分に改善されない可能性があります。

問題集を終わらせることは、一つの区切りにはなります。

しかし、問題集を一冊終えたことと、その内容を身につけたことは同じではありません。

新しい問題集に期待しすぎている

一冊の問題集で成績が上がらなかったとき、

「この問題集が合っていないのかもしれない」

と考えることがあります。

もちろん、教材の難易度や説明の仕方が本人に合っていない場合はあります。

そのようなときには、教材を変更することも必要です。

しかし、問題集を変えるだけでは解決しない場合もあります。

例えば、基礎計算が不安定な子どもが、別の出版社の応用問題集に取り組んでも、同じようなところでつまずく可能性があります。

問題集の問題ではなく、学習方法や基礎理解に原因がある場合です。

新しい教材を購入する前に、今使っている問題集で何ができていて、何ができていないのかを確認することが大切です。

解いた問題数と理解度を混同している

「今日は50問解いた」

「今週は100問解いた」

このように、問題数を目標にすることもあります。

問題をたくさん解くことには意味があります。

特に、基本計算や英単語など、繰り返し練習することで正確さや速さを高めたい内容では、十分な練習量が必要です。

しかし、問題数が多いことだけでは、理解度は判断できません。

50問のうち、すでに解ける問題が45問だった場合と、苦手な問題を15問確認し、そのうち10問を自力で解けるようにした場合では、学習の意味が異なります。

大切なのは、問題数だけでなく、学習前と学習後で何が変わったのかを確認することです。


2.問題集を何冊やっても伸びない子に共通する5つの特徴

ここでは、問題集を十分に活用できていない場合に見られる、代表的な五つの特徴を紹介します。

特徴① 間違えた問題をそのままにしている

問題集を解いた後、答え合わせをすることは大切です。

しかし、間違えた問題に正しい答えを書き込むだけでは、自分で解けるようになったとは限りません。

例えば、数学の方程式で間違えたとします。

解説を読み、

「なるほど、こうやって解くのか」

と理解したつもりになります。

ところが、数日後に同じ問題を解こうとすると、途中で手が止まる。

このような場合、解説を理解することと、自力で解くことの間に差があると考えられます。

間違えた問題は、解説を読んだ後に、何も見ずにもう一度解いてみることが重要です。

特徴② 答えを見ながら問題を解いている

難しい問題に取り組むとき、解説を参考にすることは悪いことではありません。

新しい解き方を学ぶ段階では、模範解答を確認する必要もあります。

しかし、最初から答えを見ながら問題を解き続けていると、自分の力で考える機会が少なくなります。

例えば、英語の並べ替え問題で、答えを見ながら単語を並べたとします。

その場では正しい英文が完成します。

しかし、答えを隠して同じ問題を解こうとすると、正しい語順を思い出せないかもしれません。

解説を参考にした場合には、その後に何も見ずに解けるか確認することが必要です。

特徴③ 難しい問題集を選びすぎている

成績を上げたいという気持ちが強いほど、難しい問題集を選びたくなることがあります。

しかし、現在の理解度に対して難しすぎる問題集は、学習を進めにくくする場合があります。

例えば、一次方程式の基本計算が不安定な状態で、難しい文章問題ばかりに取り組んだとします。

文章を読み取ることに加えて、式の立て方や計算でもつまずくため、一問を解くのに非常に長い時間がかかることがあります。

この場合、難しい問題に挑戦する前に、基本的な方程式を安定して解けるようにすることが有効です。

問題集は、難しければ難しいほどよいわけではありません。

今の理解度に合い、少し努力すれば解ける問題が含まれていることが重要です。

特徴④ 一度解いたら二度と戻らない

問題集を最初から最後まで進めることに集中していると、以前のページに戻る機会が少なくなることがあります。

しかし、人は一度学習した内容を、時間が経つにつれて忘れることがあります。

そのため、一度正解できた問題でも、数日後や数週間後にもう一度確認することが重要です。

特に、間違えた問題や、解くときに迷った問題は、優先して復習する必要があります。

問題集を何冊も進めるより、以前に間違えた問題を確実に解けるようにすることが、学習の改善につながる場合があります。

特徴⑤ 自分に必要な問題を選べていない

問題集には、さまざまな難易度の問題が含まれています。

基本問題。

標準問題。

応用問題。

発展問題。

しかし、すべての問題を同じように解く必要があるとは限りません。

例えば、基本計算は十分にできているのに、文章問題でつまずいている子どもがいたとします。

その場合、基本計算ばかり繰り返すより、文章から式を作る練習を増やしたほうがよいかもしれません。

反対に、基本計算が不安定な場合には、応用問題へ進む前に基礎を確認する必要があります。

問題集を効果的に使うためには、自分に必要な問題を選ぶことが大切です。


3.成績を伸ばすための問題集の選び方

問題集を効果的に使うためには、教材選びも重要です。

ただし、評判のよい問題集が、すべての子どもに合うとは限りません。

現在の学力に合った問題集を選ぶ

問題集を選ぶときには、今の自分がどの程度理解できているのかを確認します。

例えば、数学の問題集を選ぶ場合、基本問題をいくつか解いてみます。

ほとんど解けない場合には、少し前の単元や、より基礎的な教材を検討します。

基本問題は解けるものの、標準問題でつまずく場合には、標準問題の解説が丁寧な教材が適しているかもしれません。

すでに標準問題を安定して解ける場合には、応用問題を含む教材へ進むことも考えられます。

重要なのは、問題集の難しさではなく、今の自分に必要な練習ができるかどうかです。

解説が理解しやすい教材を選ぶ

家庭学習では、分からない問題が出てきたときに、自分で解説を確認する必要があります。

そのため、解説の分かりやすさは重要です。

例えば、数学の問題集で答えだけが書かれている場合、途中の考え方が分からず、理解が進まないことがあります。

一方、途中式や考え方が丁寧に説明されている教材なら、自分で確認しやすくなります。

英語でも、正しい英文だけでなく、なぜその語順になるのかが説明されている教材が役立つ場合があります。

問題集を購入する際には、問題の数だけでなく、解説の内容も確認しましょう。

学校の授業内容とのつながりを考える

定期テスト対策を目的とする場合には、学校の教科書や授業内容とのつながりも重要です。

学校のワークがある場合には、まずその内容を十分に活用することが基本となります。

学校のワークには、授業で扱った内容を確認するための問題が含まれています。

そのため、学校のワークで間違えた問題を解き直すことが、定期テスト対策につながる場合があります。

ただし、学校のワークだけでは理解が難しい場合や、説明が不足している場合には、別の教材を補助的に使うことも有効です。

大切なのは、教材を増やすこと自体を目的にしないことです。

一冊にこだわりすぎる必要もない

ここまで、一冊の問題集を十分に活用することの重要性を説明してきました。

しかし、必ず一冊だけで勉強しなければならないわけではありません。

例えば、基礎を確認する問題集と、定期テスト対策の問題集を使い分けることもあります。

また、問題集の難易度が合わない場合には、別の教材に変更することも必要です。

重要なのは、何冊使うかではなく、それぞれの教材に明確な目的があることです。


4.一冊の問題集を効果的に使う5つの手順

ここでは、問題集を使った家庭学習の具体的な進め方を紹介します。

手順① 最初は自力で解いてみる

まずは、答えや解説を見ずに問題を解きます。

この段階では、正解することだけが目的ではありません。

どこまで自分でできるのかを確認することも重要です。

難しい問題で手が止まった場合には、一定時間考えた後、解説を確認しても構いません。

ただし、解説を見た問題と、自力で解けた問題は区別しておきます。

手順② 問題を三つに分類する

問題を解いた後、次のように分類します。

印状態次の学習
○自力で正解できた必要に応じて後日確認
△ヒントや解説を見て解けた解説を閉じて解き直す
×解説を見ても理解できない基礎へ戻る・質問する

このように分類すると、どの問題を優先して復習すればよいかが分かりやすくなります。

ただし、○がついた問題でも、偶然正解した場合や、解き方に自信がない場合には、後日確認する必要があります。

手順③ 間違えた原因を確認する

間違えた問題は、正しい答えを確認するだけでなく、原因を考えます。

例えば、数学なら、

「計算ミスだったのか」

「公式を覚えていなかったのか」

「問題文の意味を読み取れなかったのか」

を確認します。

英語なら、

「単語を知らなかったのか」

「文法を理解していなかったのか」

「語順を間違えたのか」

を確認します。

原因が分かれば、必要な復習を選びやすくなります。

手順④ 解説を閉じて解き直す

解説を読んで理解した後は、もう一度自分で解いてみます。

ここで重要なのは、解説を見ずに解けるかどうかです。

答えを覚えてしまっている場合には、数字や条件を変えた類題を使うことも有効です。

また、解き直しても間違える場合には、もう一度基礎を確認する必要があります。

一度の解き直しで完璧にすることを目指すのではなく、少しずつ自力で解ける状態に近づけていきます。

手順⑤ 時間を空けて再確認する

その日に解けた問題でも、数日後には忘れていることがあります。

そのため、時間を空けて確認します。

例えば、次のような方法です。

  • 当日:間違えた問題を解き直す
  • 2〜3日後:もう一度自力で解く
  • 1週間後:間違えやすい問題を再確認する

復習の間隔は、理解度や学習内容によって調整します。

大切なのは、一度解けたことだけで安心せず、時間が経っても解けるかを確認することです。


5.家庭教師が問題集の使い方を改善するときに大切にすること

家庭教師の指導では、問題集を何冊持っているかよりも、どのように使っているかを確認することが重要です。

問題集の進み具合だけで判断しない

例えば、問題集を一冊終わらせた子どもがいたとします。

その努力は認めるべきです。

しかし、終わらせたことだけで、内容が十分に身についたと判断することはできません。

そこで、以前に間違えた問題をいくつか選び、もう一度解いてもらいます。

自力で解けるか。

途中式を説明できるか。

少し違う問題にも対応できるか。

こうした確認によって、学習の状態を把握します。

問題集を増やす前に、今の教材を確認する

子どもや保護者から、

「新しい問題集を買ったほうがいいですか?」

と相談されることがあります。

その場合、まずは今使っている教材を確認することが大切です。

学校のワークで間違えた問題が残っていないか。

解説を読んでも理解できない問題がないか。

すでに解ける問題ばかりになっていないか。

こうした点を確認したうえで、必要なら新しい教材を検討します。

問題集を購入することが、学習改善の第一歩になるとは限りません。

子どもに合った復習方法を考える

同じ問題集を使っていても、子どもによって必要な学習方法は異なります。

例えば、計算ミスが多い子どもには、途中式の書き方を確認する必要があるかもしれません。

解説を読んでも理解できない子どもには、基礎的な内容へ戻る必要があるかもしれません。

また、間違えた問題を何度も解くことに抵抗がある子どもには、少ない問題数から始める方法も考えられます。

大切なのは、決まった方法をすべての子どもに当てはめるのではなく、学習状況に合わせて調整することです。

「一冊終わった」から「自分で解ける」へ

問題集を使った学習で目指したいのは、単にページを進めることではありません。

以前は解けなかった問題を、自力で解けるようにすることです。

例えば、最初は解説を見なければ分からなかった問題が、数日後には自分で解けるようになった。

同じ種類の問題を、別の数字でも解けるようになった。

間違えた原因を、自分で説明できるようになった。

こうした変化を確認することで、学習の成果が見えやすくなります。

家庭教師は、その変化を子どもと一緒に確認し、次に必要な学習を整理する役割を担います。


おわりに

問題集を何冊もやっているのに成績が上がらないとき、必要なのは、さらに問題集を増やすことだけではありません。

まずは、今使っている問題集をどのように活用しているのかを確認することが大切です。

一冊終わらせることが目的になっていないか。

間違えた問題をそのままにしていないか。

答えを見ながら解いていないか。

難しすぎる問題集を選んでいないか。

以前に解いた問題を復習しているか。

こうした点を確認することで、改善できる部分が見えてくることがあります。

また、問題集を使うときには、問題を三つに分類する方法も有効です。

自力で解けた問題。

ヒントがあれば解けた問題。

解説を見ても理解できなかった問題。

このように整理することで、どの問題を優先して復習すればよいかが分かりやすくなります。

そして、間違えた問題は、解説を読んで終わりにするのではなく、もう一度自力で解いてみることが重要です。

さらに、数日後にも解けるかを確認することで、学習内容の定着を確かめることができます。

もちろん、問題集を複数使うことが悪いわけではありません。

基礎を確認する教材と、応用問題に取り組む教材を使い分けることもあります。

ただし、それぞれの教材に目的があることが大切です。

問題集は、何冊終わらせたかを競うためのものではありません。

自分で解ける問題を増やすための道具です。

一冊の問題集を丁寧に使うことで、苦手な部分を改善できる場合があります。

また、今の学力に合わない教材を無理に続けるより、必要な内容を学べる教材へ変更したほうがよい場合もあります。

大切なのは、教材の数ではなく、学習の目的と方法です。

家庭教師の指導でも、問題集を進めることだけを目標にするのではなく、子どもがどの問題を自力で解けるようになったのかを確認します。

そして、できなかった問題ができるようになったことを、一つずつ積み重ねていきます。

問題集を何冊も終わらせることよりも、昨日解けなかった一問を、今日自分の力で解けるようにすること。

その積み重ねが、成績を伸ばすための大切な土台となるのです。



実際の例はこちらから

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