はじめに
たくさんの問題集を用意して片っ端から解いていく・・・いい勉強のように見えますが・・・。
3冊やったんだけど・・・。
思ったような成績には・・・。
ならんかった・・・。
努力が報われないのはキツイよね・・・。
- 0.1. 事例プロフィール
- 1. はじめに
- 2. 「もう三冊も終わらせたんです」
- 3. 問題集を終わらせても、解けるようになっていなかった
- 3.1. 赤ペンで直した問題を、もう一度解いてみる
- 3.2. 三冊の問題集に、同じ間違いが残っていた
- 3.3. 「三ページ進める」より「一問を解けるようにする」
- 4. 問題集を「終わらせるもの」から「できるようになるための道具」へ
- 4.1. ○・△・×で理解度を見えるようにする
- 4.2. 間違えた原因を言葉にする
- 4.3. 三冊を最初からやり直す必要はない
- 5. 一冊終わらせるより、一問を自力で解けるようにする
- 5.1. 一週間後、問題集の進み方が変わった
- 5.2. 「進んだページ数」から「解ける問題の数」へ
- 5.3. 努力の成果を確かめる方法が変わった
- 6. おわりに
- 6.1.1. 理論編はこちらから
事例プロフィール
- 対象: 中学2年生・Rくん
- 地域: 福井県内
- 性格: 真面目で計画的。決めたことは最後までやり遂げようとする一方、結果が出ないと焦りやすい
- 当初の課題: 数学の問題集を複数冊終わらせているが、定期テストの点数が伸び悩んでいる
- 支援テーマ: 問題集の進め方を見直し、間違えた問題を自力で解けるようにする
はじめに

「問題集を何冊も終わらせたのに、どうして成績が上がらないんだろう」
勉強に真面目に取り組んでいる子どもほど、このような悩みを抱えることがあります。
学校のワークを終わらせる。
市販の問題集を一冊終わらせる。
さらに、別の問題集を購入して勉強する。
これだけ取り組んでいれば、成績も上がるはずだと考えるのは自然なことです。
しかし、問題集を何冊終わらせたかと、学習内容がどれだけ身についたかは、必ずしも一致しません。
例えば、間違えた問題の答えを赤ペンで書き直し、そのまま次のページへ進んでいた場合です。
一冊を最後まで終わらせることはできても、以前に間違えた問題を自力で解けるようになっているとは限りません。
また、新しい問題集を購入するたびに最初から取り組んでいると、同じような基本問題ばかり繰り返し、苦手な部分が残ってしまうこともあります。
問題集は、たくさん持っていればよいというものではありません。
大切なのは、問題集を使って、どれだけ自分で解ける問題を増やせたかということです。
今回の物語では、数学の問題集を何冊も終わらせている中学生を取り上げます。
家庭教師は、問題集の冊数や進み具合だけでなく、間違えた問題への取り組み方を確認していきます。
そして、今ある問題集を使いながら、学習方法を見直していくことになります。
「もう三冊も終わらせたんです」
その日の指導で、Rくんは机の上に三冊の問題集を並べました。
一冊は学校のワーク。
残りの二冊は、市販の数学の問題集です。
どの問題集にも、最後のページまで書き込みがありました。
🔵 講師
「ずいぶん頑張っているね。全部終わらせたの?」
🔴 学習者
「はい。三冊とも終わりました」
🔵 講師
「どのくらいの期間で?」
🔴 学習者
「二か月くらいです」
🔵 講師
「毎日続けていたんだね」
🔴 学習者
「はい。でも、全然成績が上がらないんです」
Rくんは、定期テストの答案を取り出しました。
数学は54点。
前回のテストとほとんど変わらない点数でした。
🔴 学習者
「先生、もっと難しい問題集を買ったほうがいいですか?」
🔵 講師
「今の段階では、まだ買わなくてもいいと思うよ」
🔴 学習者
「でも、三冊も終わらせたんですよ?」
🔵 講師
「そうだね。それだけ取り組んだことは大切だよ」
🔴 学習者
「じゃあ、何が足りないんでしょうか」
講師は、机に並んだ問題集を一冊ずつ確認しました。
どのページにも答えが書かれています。
赤ペンで訂正された問題も、少なくありません。
🔵 講師
「Rくん、この問題集は、どんなふうに進めていたの?」
🔴 学習者
「一日に三ページずつやるって決めてました」
🔵 講師
「間違えた問題は?」
🔴 学習者
「答え合わせをして、赤ペンで直してました」
🔵 講師
「その後、もう一度解いてみた?」
🔴 学習者
「いいえ。次のページに進んでました」
🔵 講師
「なるほど」
🔴 学習者
「それじゃ、だめなんですか?」
🔵 講師
「答え合わせをすることは大切だよ。ただ、赤ペンで直しただけでは、自分で解けるようになったかどうかは分からないんだ」
Rくんは、少し不思議そうな顔をしました。
🔴 学習者
「でも、答えを見れば分かるんです」
🔵 講師
「じゃあ、少し確認してみようか」
講師は、一冊目の問題集を開きました。
そして、以前に間違えた問題を一つ選びました。
🔵 講師
「この問題、今もう一度解けるかな?」
🔴 学習者
「前にやった問題ですよね?」
🔵 講師
「そうだよ。答えを隠して解いてみよう」
Rくんは鉛筆を持ちました。
しかし、しばらく考えた後、手が止まってしまいました。
🔴 学習者
「……分からないです」
🔵 講師
「どこで止まった?」
🔴 学習者
「式をどうやって作るのか、忘れました」
講師はうなずきました。
🔵 講師
「じゃあ、ここが一つの確認ポイントだね」
🔴 学習者
「前に解いたはずなのに……」
Rくんは、少し悔しそうでした。
問題集を終わらせても、解けるようになっていなかった
赤ペンで直した問題を、もう一度解いてみる
講師が選んだのは、一次方程式の文章問題でした。
問題
ある数に5を加え、その結果を3倍すると36になります。ある数を求めなさい。
🔵 講師
「まず、何を求める問題かな?」
🔴 学習者
「ある数です」
🔵 講師
「じゃあ、その数を何と置こうか?」
🔴 学習者
「xです」
🔵 講師
「そうだね。次に、ある数に5を加えると?」
🔴 学習者
「x+5です」
🔵 講師
「その結果を3倍すると36になるんだね」
Rくんは、少し考えました。
🔴 学習者
「3x+5=36……ですか?」
🔵 講師
「惜しいね。問題文をもう一度読んでみよう」
Rくんは、問題文を声に出して読みました。
「ある数に5を加え、その結果を3倍すると36になります」
🔴 学習者
「あ、先に5を足すんですね」
🔵 講師
「そう。じゃあ、どう書けばいいかな?」
🔴 学習者
「3(x+5)=36です」
🔵 講師
「正解。あとは解いてみよう」
Rくんは計算を進めました。
3(x+5)=36
x+5=12
x=7
🔴 学習者
「答えは7です」
🔵 講師
「そうだね。計算はできているよ」
🔴 学習者
「でも、最初の式を間違えました」
🔵 講師
「そこが大切なんだ。今回の問題では、方程式の計算よりも、文章から式を作るところが難しかったんだね」
🔴 学習者
「そうですね」
講師は、問題集の赤ペンで訂正された部分を指しました。
🔵 講師
「前にこの問題を解いたとき、正しい式を赤ペンで書いているね」
🔴 学習者
「はい。答えを見て直しました」
🔵 講師
「そのとき、どうしてこの式になるのか確認した?」
🔴 学習者
「たぶん、解説は読んだと思います」
🔵 講師
「じゃあ、解説を閉じて、もう一度自分で式を作ってみた?」
🔴 学習者
「それはしてません」
🔵 講師
「そうか。だから、式の作り方が身についたかどうかを確認する機会がなかったんだね」
Rくんは、問題集を見つめました。
🔴 学習者
「赤ペンで直したら、できるようになったと思ってました」
🔵 講師
「解説を読んで理解することも大事だよ。でも、テストでは答えを見ずに解かないといけないからね」
🔴 学習者
「そうですよね……」
三冊の問題集に、同じ間違いが残っていた
講師は、二冊目の問題集を開きました。
そこにも、一次方程式の文章問題がありました。
問題
ある数を4倍してから3を引くと29になります。ある数を求めなさい。
🔵 講師
「この問題はどう?」
🔴 学習者
「4x-3=29です」
🔵 講師
「正解。じゃあ、これは?」
問題
ある数から3を引き、その結果を4倍すると28になります。ある数を求めなさい。
Rくんは、少し考えました。
🔴 学習者
「4x-3=28……?」
講師は、二つの問題文を並べました。
🔵 講師
「この二つ、どこが違うかな?」
🔴 学習者
「最初の問題は4倍してから3を引く。次の問題は3を引いてから4倍する、です」
🔵 講師
「そうだね。じゃあ、式は同じになる?」
🔴 学習者
「……ならないですね」
🔵 講師
「二つ目はどうなるかな?」
🔴 学習者
「4(x-3)=28です」
🔵 講師
「正解」
Rくんは、問題集のページをめくりました。
🔴 学習者
「先生、こういう問題、ほかの問題集でも間違えてます」
🔵 講師
「ちょっと見せてくれる?」
三冊目の問題集にも、似た文章問題がありました。
そこにも、赤ペンで訂正した跡が残っていました。
🔴 学習者
「本当だ。同じようなところで間違えてます」
🔵 講師
「そうだね。問題集は違っても、つまずいている部分は似ているね」
🔴 学習者
「じゃあ、三冊やっても、同じところができてなかったってことですか?」
🔵 講師
「少なくとも、今確認した問題ではそうだね」
Rくんは、少し黙りました。
そして、ぽつりと言いました。
🔴 学習者
「何か、もったいないことをした気がします」
🔵 講師
「そう感じるかもしれないね。でも、三冊やったことが全部無駄だったわけじゃないよ」
🔴 学習者
「そうなんですか?」
🔵 講師
「基本計算は前より安定しているし、問題を解く習慣もついている。それに、今は三冊の中から共通する苦手が見つかったでしょう?」
🔴 学習者
「文章から式を作るところですね」
🔵 講師
「そう。これからは、そこを重点的に練習すればいいんだ」
「三ページ進める」より「一問を解けるようにする」
Rくんは、最初に持ってきた三冊の問題集を見ました。
🔴 学習者
「先生、じゃあ、これからは何ページずつ進めればいいですか?」
🔵 講師
「まずは、ページ数を目標にするのを少し変えてみよう」
🔴 学習者
「どういうことですか?」
🔵 講師
「例えば、今日は文章問題を五問やる。その中で間違えた問題を、解説を見ずに解けるようにする。そんな目標はどうかな?」
🔴 学習者
「五問だけですか?」
🔵 講師
「五問が簡単に解けるなら、もっと進めてもいいよ。でも、今みたいに式の作り方で迷う問題があるなら、まずはそこを確認したいね」
🔴 学習者
「今までより、進むのが遅くなりそうです」
🔵 講師
「ページを進める速さは遅くなるかもしれないね。でも、自分で解ける問題が増えるなら、それには意味があると思わない?」
Rくんは少し考えました。
🔴 学習者
「確かに、今までは三ページ進めても、できない問題が残ってました」
🔵 講師
「そうだね。これからは、間違えた問題に戻る時間も作ってみよう」
🔴 学習者
「新しい問題集は、買わなくていいですか?」
🔵 講師
「今は、持っている問題集で十分練習できそうだよ。必要になったら、そのとき考えよう」
Rくんは、三冊のうち学校のワークを手元に残しました。
そして、ノートの新しいページを開きました。
🔴 学習者
「先生、じゃあ、どの問題からやり直せばいいですか?」
🔵 講師
「まずは、今日見つかった文章問題の間違いから始めよう。解けた問題と、まだ練習が必要な問題を分けてみようか」
Rくんはうなずきました。
今までは、一冊終わらせるたびに達成感がありました。
しかし、その中に解けない問題が残っていることには、あまり目を向けていませんでした。
これからは、問題集のページ数だけではなく、自分がどの問題を解けるようになったのかを確認していくことになります。
問題集を「終わらせるもの」から「できるようになるための道具」へ
○・△・×で理解度を見えるようにする
講師は、Rくんの学校のワークを開きました。
🔵 講師
「これからは、問題を解いた後に印をつけてみよう」
🔴 学習者
「印ですか?」
🔵 講師
「うん。○・△・×の三つに分けるんだ」
講師はノートに書きました。
| 印 | 理解の状態 | 次にすること |
|---|---|---|
| ○ | 自力で正解できた | 後日、必要に応じて確認する |
| △ | ヒントや解説を見れば解けた | 解説を閉じて解き直す |
| × | 解説を見ても分からない | 基礎を確認する・質問する |
🔴 学習者
「間違えた問題は全部×じゃないんですか?」
🔵 講師
「今回は、最初に間違えても、解説を読めば理解できる問題を△にしよう。解説を読んでも分からない問題は×だね」
🔴 学習者
「なるほど」
🔵 講師
「それから、答えは合っていても、偶然正解した問題は△にしておこう」
🔴 学習者
「正解していてもですか?」
🔵 講師
「うん。大切なのは、答えが合ったかどうかだけじゃなくて、自分で解き方を説明できるかどうかだからね」
Rくんは、以前に間違えた問題を確認し始めました。
最初の問題は、自力で解けました。
🔴 学習者
「これは○ですね」
🔵 講師
「そうだね」
次の問題では、途中で手が止まりました。
解説を読むと、式の作り方を理解できました。
🔴 学習者
「これは△ですか?」
🔵 講師
「そうだね。じゃあ、解説を閉じて、もう一度やってみよう」
Rくんは解説を隠し、問題文を読み直しました。
そして、今度は正しい式を作ることができました。
🔴 学習者
「できました」
🔵 講師
「いいね。ただ、今は解説を見た直後だから、明日も確認してみよう」
🔴 学習者
「明日もですか?」
🔵 講師
「うん。今日できても、時間が経つと忘れることがあるからね」
Rくんは、問題番号の横に小さく日付を書きました。
間違えた原因を言葉にする
次に、講師はRくんに尋ねました。
🔵 講師
「さっきの文章問題は、どうして間違えたと思う?」
🔴 学習者
「式を作るのが苦手だからです」
🔵 講師
「もう少し具体的にできるかな?」
Rくんは、問題文を見直しました。
🔴 学習者
「何を先に計算するのか、間違えました」
🔵 講師
「そうだね。『5を足してから3倍する』と『3倍してから5を足す』は違うよね」
🔴 学習者
「はい。かっこを使うかどうかが変わります」
🔵 講師
「じゃあ、次に文章問題を解くときは、何に気をつければいい?」
🔴 学習者
「計算する順番を確認します」
🔵 講師
「それをノートに書いておこう」
Rくんは、次のように書きました。
今回の間違い
文章問題で、計算する順番を間違えた。
次に気をつけること
「先に」「その結果を」などの言葉に注意し、計算する順番を確認してから式を作る。
🔴 学習者
「こうやって書くと、何を直せばいいか分かりますね」
🔵 講師
「そうだね。『数学が苦手』だけでは、何を練習すればいいか分かりにくいからね」
🔴 学習者
「確かに、今までは文章問題が全部苦手だと思ってました」
🔵 講師
「でも、今日確認したところでは、式を作った後の計算はできている問題もあったね」
🔴 学習者
「はい」
🔵 講師
「じゃあ、今は文章から式を作る練習を優先しよう」
三冊を最初からやり直す必要はない
Rくんは、机の上の問題集を見ました。
🔴 学習者
「先生、三冊とも最初からやり直したほうがいいですか?」
🔵 講師
「全部やり直す必要があるかどうかは、確認してから決めよう」
🔴 学習者
「どうやって確認するんですか?」
🔵 講師
「まずは学校のワークを中心にして、間違えた問題や、解き方に自信がなかった問題を選ぼう」
🔴 学習者
「ほかの二冊は?」
🔵 講師
「学校のワークだけでは練習が足りないところに使えばいいよ」
🔴 学習者
「三冊全部を毎日やらなくてもいいんですね」
🔵 講師
「そうだね。教材ごとに役割を決めよう」
講師は、三冊の使い方を整理しました。
- 学校のワーク: 授業内容の確認と、間違えた問題の解き直し
- 基礎問題集: 学校のワークで理解できなかった単元の復習
- 標準問題集: 基礎ができた後に、類題や少し難しい問題を練習する
🔴 学習者
「今までは、どれも最初から最後まで進めてました」
🔵 講師
「これからは、必要なところを選んで使ってみよう」
Rくんは、問題集の表紙に付箋を貼りました。
それぞれの役割を書き、使い分けられるようにしたのです。
一冊終わらせるより、一問を自力で解けるようにする
一週間後、問題集の進み方が変わった
次の指導日。
Rくんは、学校のワークを開いて講師に見せました。
🔴 学習者
「先生、今週はあんまりページが進みませんでした」
🔵 講師
「そうなんだね。どんな勉強をしたの?」
🔴 学習者
「前に間違えた問題を解き直してました」
講師がワークを見ると、問題番号の横に○・△・×の印がついていました。
さらに、復習した日付も書かれています。
🔵 講師
「きちんと記録してあるね」
🔴 学習者
「最初は△が多かったです」
🔵 講師
「今はどう?」
🔴 学習者
「何問かは、解説を見なくても解けるようになりました」
🔵 講師
「じゃあ、一問確認してみようか」
講師は、Rくんが三日前に間違えた問題を選びました。
問題
ある数から4を引き、その結果を3倍すると24になります。ある数を求めなさい。
Rくんは、問題文をゆっくり読みました。
そして、ノートに式を書きました。
[
3(x-4)=24
]
[
x-4=8
]
[
x=12
]
🔴 学習者
「12です」
🔵 講師
「正解。どうして、3(x-4)になるの?」
🔴 学習者
「先に4を引いて、その結果を3倍するからです」
🔵 講師
「そうだね。式の意味も説明できたね」
Rくんは、うれしそうに笑いました。
🔴 学習者
「前は、こういう問題をよく間違えてたんです」
🔵 講師
「そうだったね」
🔴 学習者
「でも、今は何を先に計算するか考えるようになりました」
🔵 講師
「いい変化だね」
「進んだページ数」から「解ける問題の数」へ
Rくんは、問題集の最初のページを開きました。
🔴 学習者
「先生、前は一日に三ページ進めることが目標だったんです」
🔵 講師
「うん」
🔴 学習者
「でも、今は一日に五問しかやらない日もあります」
🔵 講師
「その五問は、どうだった?」
🔴 学習者
「最初は二問しか自分で解けませんでした。でも、解説を確認して、もう一度やったら四問解けました」
🔵 講師
「残りの一問は?」
🔴 学習者
「まだ分からないので、今日聞こうと思って印をつけてきました」
🔵 講師
「それでいいんだよ。分からない問題が残っていることを、自分で把握できているね」
🔴 学習者
「前だったら、答えを赤ペンで書いて終わりにしてたと思います」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「分からないところを確認して、次に解けるようにしたいです」
講師はうなずきました。
🔵 講師
「問題集を使う目的が変わってきたね」
Rくんは、三冊の問題集を見ました。
🔴 学習者
「先生、前は新しい問題集を買えば、もっとできるようになると思ってました」
🔵 講師
「そうだったね」
🔴 学習者
「でも、今ある問題集にも、まだできない問題が残ってるんですよね」
🔵 講師
「そうだね。今は、それを練習することに意味がありそうだね」
🔴 学習者
「じゃあ、しばらくは新しい問題集を買わなくてもいいですね」
🔵 講師
「うん。必要になったら、そのとき考えよう」
Rくんは、問題集を一冊だけ手元に残し、ほかの二冊を机の横に置きました。
そして、ノートに新しい目標を書きました。
『一冊終わらせることより、自力で解ける問題を増やすこと』
努力の成果を確かめる方法が変わった
Rくんは、最後に講師へ尋ねました。
🔴 学習者
「先生、こういう勉強を続けたら、次のテストで点数は上がりますか?」
🔵 講師
「点数がどう変わるかは、今の段階では分からないよ」
🔴 学習者
「そうですよね……」
🔵 講師
「でも、以前は解けなかった文章問題を、今日は自力で解けたでしょう?」
🔴 学習者
「はい」
🔵 講師
「それは、学習が前に進んでいる一つの証拠だよ」
🔴 学習者
「確かに、前より分かる問題は増えました」
🔵 講師
「これからは、ほかの単元でも同じように確認していこう。テストでは時間内に解く練習も必要だからね」
🔴 学習者
「分かりました」
Rくんは、問題集を閉じました。
以前は、一冊を終わらせるたびに達成感がありました。
しかし、その中に残っている苦手な問題には、十分に向き合えていませんでした。
今は違います。
間違えた問題を見つける。
原因を確認する。
解説を閉じて解き直す。
時間を空けて、もう一度確認する。
その積み重ねによって、自力で解ける問題を少しずつ増やしていく。
Rくんにとって、問題集は、ただ終わらせるものではなくなっていました。
自分ができることを増やすための道具へと変わっていたのです。
おわりに
問題集を何冊も終わらせているのに成績が伸びないとき、子どもは努力が足りないと感じてしまうことがあります。
また、保護者も、
「もっと難しい問題集を買ったほうがいいのではないか」
「別の教材に変えたほうがいいのではないか」
と考えるかもしれません。
しかし、問題集を増やす前に確認したいことがあります。
それは、今使っている問題集の内容を、どれだけ自力で解けるようになっているかということです。
今回のRくんは、三冊の数学の問題集を終わらせていました。
しかし、間違えた問題は赤ペンで訂正するだけで、十分に解き直していませんでした。
そのため、別の問題集でも、似たような文章問題を繰り返し間違えていました。
そこで、問題集の使い方を見直しました。
問題を○・△・×に分類する。
間違えた原因を確認する。
解説を閉じて解き直す。
数日後に、もう一度確認する。
そして、教材ごとに役割を決め、必要な問題を選んで練習する。
こうした方法によって、問題集を終わらせることだけではなく、自分で解ける問題を増やすことに意識を向けられるようになりました。
家庭学習でも、次のことを意識してみてください。
一つ目は、問題集の冊数を成果の基準にしないこと。
何冊終わらせたかより、どの内容を理解できるようになったかを確認します。
二つ目は、間違えた問題をそのままにしないこと。
答え合わせだけで終わらせず、自分で解き直す時間を作ります。
三つ目は、間違えた原因を具体的にすること。
計算ミスなのか、解き方の理解不足なのか、問題文の読み取りが難しいのかを確認します。
四つ目は、復習する問題を選ぶこと。
すべてを最初からやり直すのではなく、今の自分に必要な問題を優先します。
五つ目は、時間を空けて再確認すること。
その日に解けた問題が、数日後にも解けるかを確認します。
もちろん、問題集を複数使うこと自体が悪いわけではありません。
基礎を確認する教材と、応用問題に取り組む教材を使い分けることもあります。
大切なのは、それぞれの教材を何のために使うのかが明確になっていることです。
家庭教師の役割も、ただ問題集を進めさせることではありません。
子どもがどの問題を理解できていて、どの問題でつまずいているのかを確認し、必要な学習を一緒に考えることです。
そして、問題集を進める速さだけではなく、以前は解けなかった問題が自力で解けるようになったことを大切にします。
問題集は、終わらせるためにあるのではありません。
できなかった問題を、できるようにするためにあるのです。
一冊の問題集を丁寧に活用することが、何冊もの問題集を次々と終わらせること以上に、学習の改善につながる場合があります。
昨日解けなかった一問を、今日自分の力で解けるようにする。
その小さな積み重ねが、成績を伸ばすための土台となっていくのです。
理論編はこちらから
⑧問題集を何冊やっても伸びない人の特徴(理論編)
はじめに 「問題集を何冊も買っているのに、成績が上がらない」 「一冊終わったので次の問題集を買ったけれど、テストの点数が変わらない」 「たくさん問題を解いているはずなのに、同じような問題を何度も間違える」 家庭学習に熱心 […]
家庭教師のご依頼も受け付けています
家庭学習が続かない。
何から勉強すればよいか分からない。
そんなお悩みに、福井県の学習事情を踏まえ、お子さま一人ひとりに合った学習方法をご提案します。
【ご相談の流れ】
① メール・電話・LINEでお問い合わせ
② 現在の学習状況をお伺いします
③ お子さまに合った学習方法をご提案します
ご相談だけでも大丈夫です。
無理な勧誘はいたしません。
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