- 1. はじめに
- 2. 1.「勉強時間」と「成績」は同じではない
- 2.1. 同じ1時間でも中身はまったく違う
- 2.2. 勉強時間を増やす前に確認したいこと
- 3. 2.「勉強したつもり」になっていないか
- 3.1. ノートをきれいに作ることが目的になっていないか
- 3.2. 教科書を読むだけでは分からないことがある
- 4. 3.今やっている問題が「現在の学力」に合っているか
- 4.1. 「今の単元」が原因とは限らない
- 4.2. 戻ることは遠回りではない
- 5. 4.間違えた問題を「成績を伸ばす材料」にできているか
- 5.1. 答え合わせで勉強を終わらせない
- 5.2. 間違いには種類がある
- 6. 5.成績が伸びないときこそ「原因探し」から始める
- 6.1. 「努力不足」と決めつけない
- 6.2. 成績が伸びない原因を分解して考える
- 6.2.1. ① 学習時間
- 6.2.2. ② 学習内容
- 6.2.3. ③ 学習方法
- 6.2.4. ④ 基礎理解
- 6.2.5. ⑤ 復習
- 6.2.6. ⑥ 間違いへの対応
- 6.2.7. ⑦ 教材の難易度
- 6.3. 家庭教師が最初に見るべきなのも「原因」
- 7. おわりに
- 7.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

「毎日勉強しているのに、テストの点数が上がりません」
「本人なりに頑張っていると思うのですが、なかなか結果につながりません」
「勉強時間は増えたのに、成績がほとんど変わりません」
家庭教師の指導を考えるうえで、こうした悩みはとても重要です。
勉強していないのであれば、「まず勉強する時間を作ろう」という話ができます。
ところが、すでに勉強しているのに成績が上がらない場合は、それだけでは解決できません。
むしろ、
「こんなに勉強しているのに、どうして上がらないの?」
と言われ続けることで、子ども自身が苦しくなってしまうこともあります。
本人は頑張っている。
それなのに結果が出ない。
すると、
「自分は頭が悪いのかもしれない」
「勉強しても意味がない」
「どうせ次のテストも無理だ」
と考えるようになることがあります。
しかし、ここで考えてほしいことがあります。
成績が上がらない原因は、本当に「能力」なのでしょうか。
実際には、勉強時間ではなく、勉強方法に問題があることがあります。
現在の学力と問題集の難易度が合っていないこともあります。
以前習った内容につまずきが残っていることもあります。
覚えることばかりに時間を使い、問題を解く練習が不足していることもあります。
つまり、
勉強しているのに成績が上がらないときこそ、「もっと勉強する」より先に「なぜ伸びないのか」を考える必要があるのです。
第2章では、この「原因を見つける」という視点を詳しく考えていきます。
1.「勉強時間」と「成績」は同じではない
成績が伸びないとき、多くの人が最初に考えるのが勉強時間です。
「1時間では足りないから2時間にしよう」
「もっと問題集をやろう」
「休日は3時間勉強しよう」
もちろん、勉強時間が極端に少なければ、一定の学習時間を確保する必要があります。
しかし、すでに勉強している子の場合、時間だけを増やしても問題が解決するとは限りません。
同じ1時間でも中身はまったく違う
たとえば、二人の中学生が1時間数学を勉強したとします。
一人は、
問題を解く
↓
答え合わせをする
↓
間違えた原因を確認する
↓
解説を読む
↓
何も見ずにもう一度解く
という勉強をしました。
もう一人は、
問題を解く
↓
分からないので答えを見る
↓
答えを書き写す
↓
次の問題へ進む
という勉強をしました。
どちらも記録上は、
「数学を1時間勉強した」
ことになります。
しかし、その1時間で身についた力には差が生まれる可能性があります。
だから家庭学習を見るときは、
「何時間やったか」だけではなく、「その時間に何をしていたのか」
を見る必要があります。
勉強時間を増やす前に確認したいこと
成績が伸びないと、
「もっと勉強しなさい」
と言いたくなるかもしれません。
しかし、その前に、
「今、どんな勉強をしているの?」
と確認してみることが大切です。
勉強時間が不足しているのか。
勉強方法に問題があるのか。
使っている教材が合っていないのか。
そもそも基礎部分につまずきがあるのか。
原因によって対策は変わります。
2.「勉強したつもり」になっていないか
本人は一生懸命勉強している。
それでも成績が上がらない。
そのようなときに確認したいのが、
「勉強した」と「できるようになった」の違い
です。
ノートをきれいに作ることが目的になっていないか
勉強熱心な子の中には、ノートを非常に丁寧に作る子がいます。
教科書の重要部分をまとめる。
色分けする。
図を描く。
重要なところにマーカーを引く。
もちろん、まとめることで理解が深まる場合もあります。
しかし、
「ノートを完成させること」
そのものが目的になってしまうと注意が必要です。
テストでは、きれいなノートを作れるかどうかではなく、問題に答えられるかどうかが問われます。
ノートを作った後には、
「何も見ずに説明できるか」
「問題を解けるか」
を確認する必要があります。
教科書を読むだけでは分からないことがある
教科書や参考書を読むと、
「分かった」
という感覚になります。
ところが実際に問題を解いてみると、
「あれ?どうやるんだっけ?」
となることがあります。
これは珍しいことではありません。
説明を読んで理解することと、自分で答えを出すことは別だからです。
そのため家庭学習では、
インプットだけで終わらず、必ずアウトプットする
ことが重要になります。
英単語を見たら、意味を隠して答えてみる。
数学の解説を読んだら、自分で問題を解いてみる。
社会を覚えたら、問題集で確認する。
国語の解説を読んだら、自分の言葉で根拠を説明してみる。
「覚えた気がする」ではなく、
本当に使えるかを確認するところまでが勉強
なのです。
3.今やっている問題が「現在の学力」に合っているか
成績が伸びない原因として見落とされやすいのが、教材や問題の難易度です。
真面目な子ほど、
「学年相応の問題をやらなければ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、以前の単元につまずきが残っている場合、現在の学年の問題だけを繰り返しても理解できないことがあります。
「今の単元」が原因とは限らない
たとえば、中学2年生の数学で一次関数が分からないとします。
一次関数を何度説明しても、なかなか問題が解けません。
そこで一次関数の問題集を何ページもやらせても、成績が伸びない。
詳しく確認すると、
正負の数の計算が不安定だった。
文字式が十分理解できていなかった。
方程式の計算でつまずいていた。
ということがあります。
この場合、問題は一次関数だけではありません。
もっと前の学習内容に原因がある可能性があります。
戻ることは遠回りではない
子どもによっては、
「中学2年生なのに、中学1年生の問題をやるのは嫌だ」
と思うことがあります。
保護者も、
「今の授業についていかなければ」
と焦ることがあります。
しかし、土台が不安定な状態で先へ進み続けるほうが、結果として時間がかかる場合があります。
分からなくなった地点まで戻る。
そこを理解する。
そして、もう一度現在の内容へ進む。
これは後退ではありません。
先へ進むための修正です。
家庭教師が個別指導で力を発揮しやすいのも、この部分です。
学年だけを基準にするのではなく、
「この子はどこまで理解できているのか」
を確認し、必要であれば以前の内容まで戻ることができます。
4.間違えた問題を「成績を伸ばす材料」にできているか
勉強しているのに伸びない子の学習を見ると、
「問題を解くこと」
には一生懸命でも、
「間違えた後」
に十分な時間を使っていないことがあります。
答え合わせで勉強を終わらせない
問題集を10問解いた。
7問正解して、3問間違えた。
ここで答え合わせをして、
「7問できた」
と終わってしまうことがあります。
しかし、成績を伸ばすという意味では、重要なのはむしろ間違えた3問です。
なぜ間違えたのでしょうか。
計算ミスだったのか。
公式を忘れていたのか。
問題文を読み違えたのか。
解き方そのものを理解していなかったのか。
原因によって、必要な対策は違います。
間違いには種類がある
たとえば数学であれば、
「符号を間違えた」
というミスと、
「方程式の解き方そのものが分からない」
という間違いでは意味が違います。
前者なら、計算過程の確認方法を工夫すれば改善できるかもしれません。
後者なら、基礎から学び直す必要があります。
英語でも同じです。
英文が読めなかった原因が、
単語なのか。
文法なのか。
語順なのか。
長文を読む練習不足なのか。
によって勉強方法は変わります。
だから、
「間違えた」
だけで終わらせず、
「なぜ間違えたのか」まで考える
ことが重要です。
間違いは失敗ではありません。
自分が次に何を勉強すればいいのかを教えてくれる材料なのです。
5.成績が伸びないときこそ「原因探し」から始める
勉強しているのに成績が上がらない。
そんな状態が続くと、本人も保護者も焦ります。
そして、
「もっと勉強しなければ」
という方向へ進みがちです。
しかし、努力している子にさらに努力だけを求めると、本人が疲れてしまうことがあります。
「努力不足」と決めつけない
本人が毎日1時間勉強しているとします。
それでも成績が上がらない。
そこで、
「じゃあ2時間やりなさい」
と言われた。
2時間やっても上がらない。
今度は、
「もっと集中しなさい」
と言われる。
それでも上がらない。
この状態が続けば、
「こんなにやっているのにできないなら、自分には才能がない」
と思ってしまっても不思議ではありません。
しかし、本当に必要なのは勉強時間をさらに増やすことではなく、
今の勉強のどこに問題があるのかを見つけること
かもしれません。
成績が伸びない原因を分解して考える
原因を考えるときは、一つずつ分けて確認していきます。
たとえば、
① 学習時間
そもそも必要な勉強時間を確保できているか。
② 学習内容
テスト範囲や自分の弱点に合った内容を勉強しているか。
③ 学習方法
読むだけ、写すだけではなく、自分で問題を解いているか。
④ 基礎理解
以前の単元につまずきが残っていないか。
⑤ 復習
一度勉強しただけで終わらず、もう一度確認しているか。
⑥ 間違いへの対応
間違えた原因を確認し、解き直しているか。
⑦ 教材の難易度
現在の学力に合った問題を使っているか。
このように分けて考えると、
「頭が悪いから」
「やる気がないから」
という漠然とした結論ではなく、
「ここを変えてみよう」
という具体的な改善策が見つけやすくなります。
家庭教師が最初に見るべきなのも「原因」
家庭教師というと、
「分からない問題を教えてくれる人」
というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも大切な役割です。
しかし、本当に成績を伸ばそうとするなら、
目の前の問題を教えるだけでは十分ではありません。
なぜこの問題が解けなかったのか。
どこから理解できていないのか。
普段どんな勉強をしているのか。
間違えた後に何をしているのか。
どのくらいなら一人でも勉強できるのか。
そうしたことを確認しながら、
成績が伸びない原因そのものを探していく
必要があります。
原因が違えば、指導方法も変わります。
勉強時間が不足している子と、勉強時間は十分でも方法が間違っている子に、同じ指導をしても意味がありません。
基礎が抜けている子と、基礎はできているけれど応用問題でつまずいている子も同じです。
一人ひとり違うからこそ、
「何を教えるか」の前に、
「なぜできないのか」を知ること
が重要なのです。
おわりに
勉強しているのに成績が上がらないと、
「もっと頑張らなければ」
と思ってしまいます。
しかし、すでに頑張っているのであれば、必要なのは努力量を増やすことではないかもしれません。
勉強方法。
教材。
復習方法。
基礎の理解。
問題の難易度。
間違えた後の行動。
さまざまなところに、成績が伸びない原因は隠れています。
だからこそ、
「成績が上がらない=努力不足」
とすぐに考えないことが大切です。
一度立ち止まり、
「今の勉強のどこを変えればいいだろう?」
と考えてみる。
原因が見つかれば、次にやるべきことも見えてきます。
勉強がうまくいかないときに必要なのは、自分を責めることではありません。
原因を見つけ、方法を変え、もう一度試してみることです。
その繰り返しによって、同じ1時間の家庭学習でも、その中身は大きく変わっていきます。
そして第2章ではここから、「成績が伸びない」という状態をさらに細かく分解しながら、その本当の原因を一つずつ探していきます。
実際の例はこちらから
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