はじめに

「今日はどうしても勉強する気になれない」

そんな日は、誰にでもあります。

学校で疲れた。

部活動が大変だった。

友達とのことで気持ちが落ち込んでいる。

ゲームをしたい。

スマートフォンを見たい。

特に理由はないけれど、机に向かう気になれない。

こうした日に、

「やる気を出さなければ」

「今日は一時間やらなければ」

と考えると、勉強を始めること自体がますます重くなることがあります。

そして結局、

「今日はもういいや」

となってしまう。

問題は、一日休んだことだけではありません。

それが二日、三日と続いてしまうと、せっかくでき始めた家庭学習の習慣が崩れてしまうことがあります。

だからこそ大切なのは、

毎日やる気を出す方法を探すことではありません。

やる気が出ない日でも、できる勉強方法を持っておくことです。

家庭学習を続けられる子は、毎日高いモチベーションを持っているわけではありません。

やる気がある日はしっかり勉強する。

普通の日は予定どおり勉強する。

そして、やる気がない日はハードルを下げる。

このように、その日の状態に合わせて勉強を調整することが大切です。

今回は、「やる気が出ないから勉強できない」という状態から抜け出すための考え方を見ていきましょう。


やる気が出てから勉強しようとしない

家庭学習が続かない原因の一つに、

「やる気が出たら始めよう」

という考え方があります。

一見すると自然ですが、実はここに落とし穴があります。

やる気には波がある

昨日はやる気があった。

今日はない。

テスト前になるとやる気が出る。

テストが終わるとなくなる。

これは珍しいことではありません。

人の気分や意欲は、毎日一定ではないからです。

ところが、

「やる気がある=勉強する」

「やる気がない=勉強しない」

という仕組みにしてしまうと、家庭学習そのものが気分に左右されます。

「やる気」を勉強開始の条件にしない

例えば、歯磨きをするときに、

「今日は歯を磨くやる気があるかな」

とはあまり考えないでしょう。

時間になった。

お風呂から出た。

寝る前になった。

だから磨く。

行動が生活の流れに組み込まれているからです。

家庭学習も、

「やる気が出たら始める」

より、

「夕食前になったら15分やる」

「帰宅して休憩したら数学を一問やる」

のように、行動のきっかけを決めておく方法があります。

「○○になったら△△する」という具体的な計画は、目標を実際の行動へ移す助けになることが研究されています。

やる気は「始める前」だけを見る必要はない

勉強する気がまったくなかったのに、

一問解いた。

もう一問やった。

少し分かってきた。

気がついたら10分続いていた。

ということがあります。

そこで最初から、

「30分集中しよう」

と考えず、

「とりあえず始める」

ことを目標にします。

やる気を待ってから行動するのではなく、まず小さく行動してみる。

これが、やる気が出ない日の基本的な考え方です。


やる気がない日は「最低ライン」を下げる

普段30分勉強しているからといって、毎日必ず30分やらなければならないわけではありません。

疲れている日まで同じ基準を求めると、勉強そのものが嫌になることがあります。

「30分できないならゼロ」は避ける

例えば、

「今日は30分やる予定だった」

しかし、どうしてもやる気が出ない。

すると、

「30分できないから今日はやめよう」

となります。

ここで、

30分か0分か

という二択にしないことが大切です。

30分が無理なら15分。

15分が無理なら5分。

5分も難しければ、英単語を3個確認する。

数学を一問だけ解く。

それでも構いません。

「最低5分」を決めておく

やる気がない日のために、あらかじめ最低ラインを決めておく方法があります。

例えば、

通常の日:30分

忙しい日:15分

やる気がない日:5分

という形です。

すると、

「今日は30分できないから失敗」

ではなく、

「今日は5分の日」

と考えられます。

小さすぎるくらいでいい

「5分だけ勉強して意味があるの?」

と思うかもしれません。

もちろん、5分だけですべての学習ができるわけではありません。

しかし、やる気がない日の目的は、

大量に勉強することだけではなく、学習を完全に途切れさせないこと

にもあります。

英単語を5個。

計算問題を一問。

教科書を1ページ。

昨日間違えた問題を一問だけ確認。

これなら、かなりハードルが下がります。

「これくらいならできる」

と思えるところまで小さくすることがポイントです。


やる気がない日に向いている勉強を用意する

すべての勉強には、同じだけの集中力が必要なわけではありません。

数学の難しい文章問題と、英単語の確認では、負担が違います。

そこで、やる気がない日は「軽い勉強」に切り替えます。

考える勉強より「復習」を選ぶ

疲れている日に、

数学の難しい応用問題。

初めて読む英語長文。

理解できていない理科の計算問題。

こうした内容に挑戦すると、

「分からない」

「やっぱり今日は無理」

となりやすくなります。

そんな日は、

以前解いた問題。

英単語。

漢字。

社会や理科の用語。

学校で習った内容の確認。

など、比較的取り組みやすい学習に変えます。

「やる気がない日メニュー」を作っておく

その日に何をするか考えること自体が面倒な場合もあります。

そこで、元気な日に、

やる気がない日の勉強メニュー

を作っておきます。

例えば、

  • 英単語5個
  • 数学の計算問題2問
  • 漢字5個
  • 理科の用語を5分確認
  • 前日の間違いを一問だけ解き直す

といった内容です。

やる気がない日は、この中から一つ選ぶだけにします。

「何をするか迷う時間」をなくす

勉強を始めるときに、

「数学にしようかな」

「いや、英語かな」

「どこからやろう」

と迷っているうちに、面倒になってしまうことがあります。

そこで、

「やる気がない日は英単語」

のように決めておくのも一つの方法です。

行動のきっかけと具体的な行動を事前に結びつける計画は、子どもの学業を含むさまざまな行動を後押しする可能性が示されています。ただし万能ではなく、状況に応じて柔軟に変更することも重要です。


「始めるまで」をできるだけ簡単にする

やる気が出ない日は、勉強そのものよりも、

机に向かうまで

が大変です。

だから、始めるために必要な行動を減らします。

教材をすぐ開ける状態にする

例えば前日のうちに、

数学のワークを机に置く。

次にやるページへ付箋を貼る。

筆記用具を準備する。

こうしておけば、

「教材を探す」

「どこからやるか決める」

という作業がなくなります。

座る。

開く。

一問解く。

ここまでを簡単にします。

「一問だけ」で始める

やる気がないときに、

「これから一時間勉強する」

と考えると、それだけで重く感じます。

そこで、

「一問だけ解こう」

と考えます。

一問解いて、本当に無理なら終わってもいい。

しかし、一問解いたことで、

「もう一問くらいやろうかな」

となることもあります。

重要なのは、最初から大量の勉強を自分に要求しないことです。

タイマーを使う

「まず5分だけ」

と決めて、タイマーを使う方法もあります。

5分なら終わりが見えます。

やる気がない日に必要なのは、

「いつ終わるか分からない勉強」

ではなく、

「あと5分で終わる勉強」

です。

5分後にまだできそうなら続ける。

無理なら終える。

そのくらいの柔軟さを持たせます。

スマートフォンは始める前に離す

やる気がない日は、普段以上にスマートフォンの誘惑が強く感じられることがあります。

「5分勉強しよう」

と思っていても、その前にSNSや動画を開けば、始めるハードルがさらに上がります。

そこで、

「5分終わるまではスマホを別の場所へ置く」

というように、短時間だけ環境を変えます。

長時間我慢する必要はありません。

まずは勉強を始めるための数分を守ります。


本当に休んだ方がいい日もある

ここは、とても大切なところです。

「やる気がない日でも必ず勉強しなければならない」

という話ではありません。

ときには、休むことも必要です。

疲れているのか、面倒なのかを考える

「やる気がない」という言葉の中には、いろいろな状態があります。

単に始めるのが面倒。

ゲームをしたい。

少し気分が乗らない。

という場合もあれば、

強い眠気がある。

体調が悪い。

学校や部活動でかなり疲れている。

という場合もあります。

同じ「やる気がない」でも、対応は違います。

睡眠を削ってまで勉強しない

夜遅くなって、

「今日はまだ勉強していない」

と気付くことがあります。

だからといって、睡眠時間を削って無理に一時間勉強する必要はありません。

翌日の生活や学習に影響するほど疲れているなら、休んで次の日に戻す方がよい場合があります。

大切なのは、

一日できなかったことより、そのまま何日も戻れなくなることを防ぐこと

です。

休む日にも「次に戻る場所」を決める

例えば、

「今日は休む。でも明日は夕食前に15分やる」

と決めます。

これだけでも、

「今日は休んだから、もうどうでもいい」

という状態になりにくくなります。

休むことと、学習習慣をやめることは別です。

保護者も「毎日100点」を求めない

子どもが疲れている日に、

「昨日も少なかったでしょう」

「ちゃんと毎日やりなさい」

と強く言い続けると、勉強そのものへの抵抗感が強くなることがあります。

それよりも、

「今日は5分だけにする?」

「英単語だけやって終わる?」

「今日は休んで明日戻す?」

と、その日の状態に合わせた選択肢を一緒に考える方法があります。

家庭学習で重要なのは、一日だけ完璧に勉強することではありません。

長い期間、自分で学習を続けられることです。


おわりに

やる気が出ない日は、誰にでもあります。

だから、

「やる気がない自分はダメだ」

と考える必要はありません。

問題になるのは、

やる気がないと何もできない仕組みになっていること

です。

そんな日は、勉強のハードルを下げます。

30分を5分にする。

数学を一問だけ解く。

英単語を5個だけ見る。

復習だけにする。

教材をあらかじめ机へ出しておく。

それでも難しいほど疲れているなら、今日は休み、明日どこから戻るかを決める。

こうした方法を持っていれば、

「やる気があるか、ないか」

だけで勉強するかどうかを決めなくて済みます。

そして、家庭学習を続けていくうえで覚えておきたいのは、

毎日100点の勉強をする必要はない

ということです。

よくできる日は100点。

普通の日は70点。

疲れている日は30点。

本当にしんどい日は休む。

それでも、また戻ればいい。

大切なのは、一日ごとの完璧さではなく、長く続けることです。

「今日はやる気がないから勉強できない」

ではなく、

「今日はやる気がないから、できる勉強に変えよう」

と考えられるようになる。

この考え方が身につけば、家庭学習は気分だけに左右されにくくなります。

やる気に頼らず、自分の状態に合わせて勉強の量や内容を調整できるようになること。

それもまた、自分で学び続けるための大切な力なのです。



実際の例はこちらから

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