はじめに
人によっては「やる気のある日」のほうが少ないとか・・・。
やる気出ない・・・。
ま、いつものことか・・・。
まあね。でもどうすればいい?
ちょっと検討してみようか♪
はじめに

「先生、今日は本当にやる気が出ません。」
家庭教師として生徒と向き合っていると、そんな日があります。
学校で嫌なことがあったわけではない。
体調が悪いわけでもない。
テストが終わったばかりというわけでもない。
それでも、なぜか勉強する気になれない。
机に座っても問題集を開く気にならず、スマートフォンを触ったり、ぼんやりしたりして時間だけが過ぎていきます。
そんなとき、
「やる気を出しなさい」
「勉強しないと成績が下がるよ」
「みんな頑張っているんだから」
と言われても、急にやる気が出てくるわけではありません。
むしろ、
「分かっているけど、できない」
という気持ちが強くなってしまうことがあります。
では、やる気が出ない日は勉強を諦めるしかないのでしょうか。
そうではありません。
必要なのは、
やる気を無理やり出すことではなく、やる気がなくてもできる方法へ変えることです。
今回は、「やる気が出ない日は何もできない」と思っていた生徒が、家庭教師とのやり取りを通して、「やる気がない日の勉強の仕方」を身につけていく様子を見ていきます。
「今日は本当に何もしたくないです」
その日の授業。
私はいつものように教材を机の上へ置きました。
数学のワークを開きます。
🔵 講師
「じゃあ今日は、前回の続きからやろうか。」
生徒はワークを見たまま動きません。
🔵 講師
「どうした?」
🔴 学習者
「先生。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「今日、本当にやる気ないです。」
🔵 講師
「そうなんだ。」
🔴 学習者
「すみません。」
🔵 講師
「どうして謝るの?」
🔴 学習者
「家庭教師に来てもらってるのに。」
私は少し笑いました。
🔵 講師
「先生だって、毎日同じようにやる気があるわけじゃないよ。」
🔴 学習者
「先生でも?」
🔵 講師
「もちろん。」
生徒は少し意外そうな顔をしました。
🔵 講師
「何かあった?」
🔴 学習者
「別に。」
🔵 講師
「学校で嫌なことがあったとか?」
🔴 学習者
「ないです。」
🔵 講師
「体調悪い?」
🔴 学習者
「普通です。」
🔵 講師
「眠い?」
🔴 学習者
「ちょっと。」
私はうなずきました。
🔵 講師
「じゃあ、単純に今日はやる気が出ない日なのかもしれないね。」
🔴 学習者
「はい。」
少し間を置いて、生徒が言いました。
🔴 学習者
「こういう日は休んでもいいですか?」
私はすぐには答えませんでした。
🔵 講師
「逆に聞いていい?」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「今から一時間数学をやれって言ったら?」
🔴 学習者
「絶対無理です。」
🔵 講師
「30分は?」
🔴 学習者
「無理。」
🔵 講師
「10分。」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「微妙。」
🔵 講師
「5分。」
🔴 学習者
「……5分なら。」
🔵 講師
「じゃあ今日は5分にしよう。」
生徒は驚きました。
🔴 学習者
「本当に5分だけ?」
🔵 講師
「まずはね。」
私はタイマーを5分に設定しました。
🔵 講師
「数学のこのページから一問だけ。」
🔴 学習者
「一問?」
🔵 講師
「そう。」
🔴 学習者
「それでいいんですか?」
🔵 講師
「今日は一時間勉強する日じゃない。」
🔴 学習者
「じゃあ何の日?」
🔵 講師
「やる気がない日に、どうすれば勉強できるか実験する日。」
生徒が少し笑いました。
🔴 学習者
「実験ですか。」
🔵 講師
「そう。成功するか分からないから実験。」
🔴 学習者
「分かりました。」
生徒は一問目を解き始めました。
簡単な計算問題です。
途中式を書き、答えを出します。
🔴 学習者
「できました。」
🔵 講師
「丸。」
🔴 学習者
「次は?」
🔵 講師
「やりたい?」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「もう一問くらいなら。」
二問目。
これも解けました。
🔵 講師
「どう?」
🔴 学習者
「普通です。」
🔵 講師
「さっきまで『何もしたくない』って言ってたけど。」
🔴 学習者
「まあ……二問くらいなら。」
そのときタイマーが鳴りました。
🔵 講師
「5分終了。」
🔴 学習者
「もう?」
🔵 講師
「終わっていいよ。」
生徒はワークを見ました。
🔴 学習者
「あと一問だけやります。」
私は何も言わず、うなずきました。
結局、生徒は10分ほど数学を続けました。
終わったところで私は聞きました。
🔵 講師
「最初と今、やる気は変わった?」
🔴 学習者
「少し。」
🔵 講師
「最初は?」
🔴 学習者
「ゼロ。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「20くらい。」
二人で笑いました。
🔵 講師
「20でも勉強できたね。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「じゃあ、やる気が100になるまで待たなくてもいいのかもしれない。」
生徒は少し考えていました。
「やる気がない日のメニューを作ろう」
次の授業。
私は前回のことを聞きました。
🔵 講師
「あれから家ではどうだった?」
🔴 学習者
「一回、やる気ない日がありました。」
🔵 講師
「どうした?」
🔴 学習者
「5分だけやろうと思いました。」
🔵 講師
「できた?」
🔴 学習者
「できたんですけど……。」
🔵 講師
「けど?」
🔴 学習者
「数学の文章問題をやったら全然分からなくて、すぐやめました。」
🔵 講師
「なるほど。」
私は数学のワークを見ました。
確かに、そのページは少し難しい内容でした。
🔵 講師
「やる気がない日に、この問題は重かったかもしれないね。」
🔴 学習者
「やっぱり?」
🔵 講師
「5分にしたのはよかった。でも中身も変えた方がいい。」
🔴 学習者
「中身?」
私はノートに大きく書きました。
やる気がない日メニュー
🔴 学習者
「そんなの作るんですか?」
🔵 講師
「作っておけば、やる気がない日に考えなくて済む。」
🔴 学習者
「何を入れるんですか?」
🔵 講師
「簡単に始められるもの。」
一緒に考えました。
英単語5個
数学の計算問題2問
漢字5個
理科の用語確認5分
前に間違えた問題を一問だけ
🔵 講師
「どう?」
🔴 学習者
「これならできそう。」
🔵 講師
「大事なのは、『簡単すぎるかな』くらいにしておくこと。」
🔴 学習者
「簡単でいいんですか?」
🔵 講師
「やる気がない日の目的は、難しい問題をたくさん解くことじゃないから。」
🔴 学習者
「じゃあ何ですか?」
🔵 講師
「ゼロにしないこと。」
生徒はノートを見ました。
🔴 学習者
「ゼロにしない……。」
私はさらに三つの状態を書きました。
元気な日 30分
普通の日 15〜20分
やる気がない日 5分
🔵 講師
「毎日同じじゃなくていい。」
🔴 学習者
「でも、5分の日が多くなったら?」
🔵 講師
「そのときは原因を考えよう。」
🔴 学習者
「原因?」
🔵 講師
「睡眠不足なのか、勉強内容が難しいのか、予定が多すぎるのか。」
🔴 学習者
「ただ面倒なだけかもしれません。」
🔵 講師
「それも原因の一つ。」
生徒が笑いました。
私は続けました。
🔵 講師
「もう一つルールを作ろう。」
🔴 学習者
「何ですか?」
🔵 講師
「5分やって、本当に無理なら終わっていい。」
🔴 学習者
「本当に?」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「それだと毎日5分で終わるかもしれませんよ。」
🔵 講師
「一回試してみよう。」
生徒は少し不思議そうでした。
🔵 講師
「『絶対30分やらなきゃ』と思うと、始めるのが嫌になるでしょう?」
🔴 学習者
「なります。」
🔵 講師
「でも『5分で終わっていい』なら?」
🔴 学習者
「それなら、とりあえずやるかってなります。」
🔵 講師
「まずそれを狙う。」
一週間後。
生徒は学習記録を持ってきました。
🔵 講師
「どうだった?」
🔴 学習者
「やる気ない日、二日ありました。」
🔵 講師
「結構あるね。」
🔴 学習者
「先生もあるって言ったじゃないですか。」
🔵 講師
「確かに。」
二人で笑いました。
🔵 講師
「一日目は?」
🔴 学習者
「英単語5個。」
🔵 講師
「何分?」
🔴 学習者
「5分くらい。」
🔵 講師
「それで終わった?」
🔴 学習者
「その日は終わりました。」
🔵 講師
「いいね。」
生徒は意外そうな顔をしました。
🔴 学習者
「いいんですか?」
🔵 講師
「決めた最低ラインはできたでしょう。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「じゃあ成功。」
🔵 講師
「二日目は?」
🔴 学習者
「数学二問だけやろうと思いました。」
🔵 講師
「どうなった?」
🔴 学習者
「結局15分やりました。」
🔵 講師
「どうして?」
🔴 学習者
「一問目できて、二問目もできて、そのまま次もやりました。」
🔵 講師
「やる気は?」
🔴 学習者
「最初はなかったです。」
🔵 講師
「途中は?」
🔴 学習者
「少し出ました。」
🔵 講師
「前にやった実験と同じだね。」
🔴 学習者
「始めると、ちょっと変わりますね。」
それから、生徒は「やる気を出す」ことより、「始めること」を意識するようになりました。
しかし、数日後。
また別の問題が起こりました。
🔴 学習者
「先生、昨日は5分も無理でした。」
🔵 講師
「どうしたの?」
🔴 学習者
「学校から帰ってきて、ものすごく眠くて。」
🔵 講師
「何時に寝た?」
🔴 学習者
「前の日、12時半くらい。」
🔵 講師
「いつもより遅い?」
🔴 学習者
「かなり。」
🔵 講師
「部活は?」
🔴 学習者
「ありました。」
🔵 講師
「体は?」
🔴 学習者
「めちゃくちゃ疲れてました。」
私は少し考えてから聞きました。
🔵 講師
「その日は、やる気がなかったのかな。」
🔴 学習者
「違うんですか?」
🔵 講師
「もしかすると、単純に疲れてたんじゃない?」
生徒は黙りました。
🔴 学習者
「確かに。」
🔵 講師
「やる気がない日と、本当に休んだ方がいい日は違う。」
🔴 学習者
「どうやって見分けるんですか?」
🔵 講師
「例えば昨日なら、眠い、睡眠不足、部活で疲れてる。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「そんな日に夜遅くまで無理して勉強したら、次の日は?」
🔴 学習者
「もっと眠い。」
🔵 講師
「じゃあ?」
🔴 学習者
「寝た方がいい?」
🔵 講師
「そういう日もある。」
🔴 学習者
「でも一日ゼロになります。」
🔵 講師
「一日ゼロになることより、次の日も戻らない方が問題だよ。」
私はノートに書きました。
休む → 次の日に戻る
🔵 講師
「休むなら、これをセットにしよう。」
🔴 学習者
「次の日に何するか決める?」
🔵 講師
「そう。」
例えば、
今日は疲れているから休む。
明日は夕食前に数学を15分。
そこまで決めて休みます。
🔴 学習者
「休むのも予定にするんですね。」
🔵 講師
「そうすると『サボった』じゃなくて、『今日は回復する日』になる。」
🔴 学習者
「それならちょっと気が楽です。」
その後、生徒は自分の状態を三つに分けるようになりました。
① 普通にできる日
予定どおり勉強する。
② やる気が出ない日
5分だけ。軽いメニューを選ぶ。
③ 本当に疲れている日
休む。その代わり、翌日の再開時間を決める。
ある日の授業で、生徒が言いました。
🔴 学習者
「先生、前は『今日はやる気あるかな』って考えてたんです。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「今日はどのパターンかなって考えてます。」
🔵 講師
「何が違う?」
🔴 学習者
「やる気なくても、やることが決まってる。」
私はうなずきました。
さらに生徒は、やる気がない日のために、前の日から準備するようになりました。
英単語帳を机に置く。
数学の計算ページに付箋を貼る。
筆記用具を出しておく。
スマートフォンは5分間だけ離れた場所へ置く。
🔵 講師
「そこまで準備するの?」
🔴 学習者
「やる気ない日に教材探すの面倒なんですよ。」
🔵 講師
「よく分かってきたね。」
🔴 学習者
「座ってすぐ始められる方が楽です。」
そして、ある日の授業。
生徒は少し嬉しそうに話しました。
🔴 学習者
「昨日、全然やる気なかったんです。」
🔵 講師
「どうした?」
🔴 学習者
「英単語5個だけやろうと思って始めました。」
🔵 講師
「5個で終わった?」
🔴 学習者
「10個やりました。」
🔵 講師
「そのあと?」
🔴 学習者
「数学も二問やりました。」
🔵 講師
「結局何分?」
🔴 学習者
「20分くらい。」
🔵 講師
「最初から20分やろうと思ってた?」
🔴 学習者
「全然。」
🔵 講師
「じゃあ、どうしてできたんだろう。」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「始めたから?」
🔵 講師
「先生もそう思う。」
🔴 学習者
「やる気って、始める前になくてもいいんですね。」
その言葉を聞いて、私はうなずきました。
以前の生徒は、
「やる気が出る → 勉強する」
という順番しか考えていませんでした。
しかし今は、
「少し始める → できそうなら続ける」
という別の方法を知り始めています。
そして、この小さな変化が積み重なってくると、生徒は「今日はやる気があるかどうか」そのものを、以前ほど気にしなくなっていったのです。
「やる気より、始め方を決めておく」
それから数週間、生徒は「今日はやる気があるかどうか」よりも、「今日はどのやり方で始めるか」を考えるようになっていきました。
ある日の授業で、私は一週間の学習記録を見せてもらいました。
🔵 講師
「今週はどうだった?」
🔴 学習者
「普通の日が三日。やる気ない日が二日。休んだ日が一日です。」
🔵 講師
「ちゃんと分けてるね。」
🔴 学習者
「前より分かりやすいです。」
🔵 講師
「やる気ない日は何した?」
🔴 学習者
「一日は英単語5個。もう一日は数学二問。」
🔵 講師
「それで終わった?」
🔴 学習者
「数学の日は15分くらい続きました。」
🔵 講師
「英単語の日は?」
🔴 学習者
「本当に5分で終わりました。」
🔵 講師
「それでいいと思う?」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「前なら『5分しかできなかった』って思ってました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「ゼロよりはいいって思います。」
私はうなずきました。
勉強が続かない子の中には、「ちゃんとできなかった日は失敗」と考えてしまう子がいます。
30分の予定だったのに10分しかできなかった。
5教科やるつもりだったのに数学しかできなかった。
問題集を5ページ進める予定だったのに2ページで終わった。
その結果、
「今日はダメだった」
となってしまいます。
しかし、その考え方が続くと、毎日かなり高い基準を満たさなければ「成功」と感じられません。
私は生徒に尋ねました。
🔵 講師
「もし毎日100点の勉強しか認めなかったら、続きそう?」
🔴 学習者
「無理です。」
🔵 講師
「じゃあ60点の日は?」
🔴 学習者
「あり。」
🔵 講師
「20点の日は?」
🔴 学習者
「前ならなしでした。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「やる気ない日なら、ありです。」
🔵 講師
「そうだね。」
私はノートに書きました。
100点の日
70点の日
30点の日
休む日
🔵 講師
「全部あっていい。」
🔴 学習者
「休む日も?」
🔵 講師
「必要ならね。」
🔴 学習者
「じゃあ、何が一番ダメなんですか?」
🔵 講師
「一回崩れたあと、ずっと戻らなくなることかな。」
生徒は少し真剣な表情になりました。
🔴 学習者
「前、それよくありました。」
🔵 講師
「どんな感じ?」
🔴 学習者
「一日できないと、『もう今週はいいや』ってなってました。」
🔵 講師
「それを変えられたら大きいね。」
そこで私は、生徒と一緒に「戻り方」まで決めることにしました。
今日できなかった
↓
明日は5分から始める
🔴 学習者
「次の日もやる気なかったら?」
🔵 講師
「また5分。」
🔴 学習者
「ずっと5分だったら?」
🔵 講師
「そのときは、やる気の問題じゃなくて、別の原因がないか考える。」
🔴 学習者
「例えば?」
🔵 講師
「疲れすぎてる。睡眠が足りない。学校で何かある。勉強が難しすぎる。予定が多すぎる。」
🔴 学習者
「なるほど。」
🔵 講師
「『やる気がない』って一言で全部まとめないことも大事なんだ。」
その数日後、生徒は家庭学習中に少し違う工夫を始めました。
やる気がない日は、最初に簡単な問題から始める。
数学なら計算問題。
英語なら単語。
理科なら用語確認。
そして、少し頭が動き始めてから、必要なら普通の問題へ移る。
次の授業で、生徒が話しました。
🔴 学習者
「先生、いきなり難しい問題やらない方がいいですね。」
🔵 講師
「どうして?」
🔴 学習者
「やる気ない日に難しいのやると、すぐ嫌になります。」
🔵 講師
「簡単なものから始めると?」
🔴 学習者
「一回『できた』ってなるので、もう少しやれます。」
🔵 講師
「自分の始め方が分かってきたね。」
🔴 学習者
「はい。」
さらに、生徒はスマートフォンの扱い方も変えました。
以前は、やる気がないほどスマートフォンを手元に置きたくなっていました。
しかし今では、5分だけ別の部屋に置くことにしました。
🔵 講師
「5分だけ離すのはどう?」
🔴 学習者
「意外と大丈夫です。」
🔵 講師
「長時間取り上げられるより?」
🔴 学習者
「全然楽です。」
🔵 講師
「5分終わったら見る?」
🔴 学習者
「見ない日もあります。」
🔵 講師
「どうして?」
🔴 学習者
「そのまま勉強続けてるから。」
こうして、生徒は「やる気を出す工夫」ではなく、「始めやすくする工夫」を少しずつ身につけていきました。
「やる気がなくても、勉強はできる」
それから定期テストが近づきました。
以前なら、テスト前になると急にやる気が出て、何時間も勉強していました。
そして疲れて、翌日は何もしない。
そんな波の大きい勉強になっていました。
しかし今回は少し違いました。
普通の日は30分。
やる気がない日は5〜10分。
疲れている日は休む。
そして翌日に戻る。
その繰り返しです。
ある日の授業で、私は聞きました。
🔵 講師
「今回のテスト勉強、前と比べてどう?」
🔴 学習者
「前より楽です。」
🔵 講師
「勉強時間は減った?」
🔴 学習者
「一日にやる時間は短い日もあります。」
🔵 講師
「じゃあどうして楽なんだろう。」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「毎日完璧にやろうとしてないからかも。」
🔵 講師
「前は?」
🔴 学習者
「やるなら一時間とか決めてました。」
🔵 講師
「できない日は?」
🔴 学習者
「ゼロ。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「5分でもやる。」
私は笑顔でうなずきました。
テストが終わり、結果が返ってきました。
大幅に上がった教科もあれば、ほとんど変わらない教科もありました。
私はいつものように答案を見ながら聞きました。
🔵 講師
「今回、一番良かったと思うことは?」
🔴 学習者
「勉強が止まらなかったことです。」
🔵 講師
「点数じゃない?」
🔴 学習者
「点数も大事です。」
少し笑って続けます。
🔴 学習者
「でも前は、やる気ない日が一日あると、そこからずっとやらなくなることがあったので。」
🔵 講師
「今回は?」
🔴 学習者
「5分でもやったし、休んだ次の日も戻れました。」
🔵 講師
「それは大きいね。」
私は最初の授業を思い出して聞きました。
🔵 講師
「最初は『やる気がない日は休んでいいですか』って聞いたよね。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「今ならどう答える?」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「休んでもいい日もある。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「でも、ただ面倒なだけなら5分やる。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「本当に疲れてるなら休む。」
🔵 講師
「そのあとは?」
🔴 学習者
「次の日に戻る。」
私はうなずきました。
生徒はさらに続けました。
🔴 学習者
「あと、前はやる気が出ないと勉強できないと思ってました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「やる気なくても、勉強はできます。」
🔵 講師
「どうやって?」
🔴 学習者
「5分だけやる。」
🔵 講師
「他は?」
🔴 学習者
「簡単なやつからやる。」
🔵 講師
「他は?」
🔴 学習者
「スマホをちょっと遠くに置く。」
🔵 講師
「他は?」
🔴 学習者
「最初から何やるか決めておく。」
かなり具体的な答えが返ってきました。
🔵 講師
「じゃあ、やる気っていらない?」
🔴 学習者
「いらないわけじゃないです。」
🔵 講師
「どういうこと?」
🔴 学習者
「やる気ある日は、たくさんできる。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「でも、やる気ない日でもゼロにしなくていい。」
🔵 講師
「その考え方は大事だね。」
少し間を置いて、生徒が言いました。
🔴 学習者
「先生、やる気って、勉強するためのスイッチだと思ってました。」
🔵 講師
「今は違う?」
🔴 学習者
「なくても動ける方法がある。」
🔵 講師
「そうだね。」
それから生徒は、家庭学習を始めるときに、
「今日はやる気があるかな」
と自分に問いかけることが減りました。
代わりに、
「今日は普通の日かな。」
「5分の日かな。」
「休んだ方がいい日かな。」
と考えるようになりました。
その違いは小さく見えるかもしれません。
しかし、本人にとっては大きな変化でした。
勉強するかどうかを「気分」に任せるのではなく、自分の状態を見ながら行動を選べるようになったからです。
おわりに
やる気が出ない日は、なくすことができません。
どれだけ勉強が得意な人でも、疲れている日や気分が乗らない日はあります。
だからこそ、家庭学習を長く続けるために必要なのは、
「毎日やる気を出すこと」
ではありません。
やる気がない日にも使える方法を持っておくことです。
30分が無理なら5分。
難しい問題が無理なら復習。
一ページが重いなら一問。
教材を探すのが面倒なら、前日に準備しておく。
スマートフォンが気になるなら、5分だけ離す。
本当に疲れているなら休む。
そして翌日に戻る。
こうした選択肢を持っておけば、
「やる気がない=何もしない」
という一つのパターンから抜け出すことができます。
今回の生徒も、最初は「やる気が出るまで待つ」勉強をしていました。
しかし、
「とりあえず5分」
という小さな行動から始めることで、やる気がなくても勉強できることを経験しました。
そして何より大きかったのは、
一日できなくても、また戻れる
と分かったことです。
家庭学習で大切なのは、毎日完璧に勉強することではありません。
続けること。
調整すること。
休むこと。
そして、また始めること。
やる気がある日だけ頑張るのではなく、自分の状態に合わせて学習を続けられるようになる。
それは、成績を伸ばすだけでなく、これから先も長く学び続けていくための大切な力になっていくのです。
理論編はこちらから
⑬ やる気が出ない日の勉強法(理論編)
はじめに 「今日はどうしても勉強する気になれない」 そんな日は、誰にでもあります。 学校で疲れた。 部活動が大変だった。 友達とのことで気持ちが落ち込んでいる。 ゲームをしたい。 スマートフォンを見たい。 特に理由はない […]


