はじめに
集中できない・・・成績を上げるには重要な課題のひとつです。
なんか集中できないんだよな・・・。
ま、普通はそんなもんです。
どうすれば・・・。
じゃあ検討してみようか♪
はじめに

「先生、僕って集中力がないんだと思います。」
家庭教師として生徒と話していると、このような言葉を聞くことがあります。
机には向かっている。
勉強する気もある。
それなのに、数分するとスマートフォンを見てしまう。
周りの音が気になる。
机の上の別の教材が目に入る。
疲れてベッドに横になってしまう。
本人は「自分には集中力がない」と思っています。
しかし、実際には、集中できない原因が本人の意志ではなく、周囲の環境にあることも少なくありません。
集中力を高めるために必要なのは、
「もっと集中しなさい」
と自分に言い聞かせることだけではありません。
集中しやすい状態を先につくることです。
今回は、勉強を始めてもすぐ気が散ってしまっていた生徒が、家庭教師と一緒に学習環境を見直しながら、「自分でも集中できる条件」を見つけていく様子をご紹介します。
「五分も集中できません」
その日の授業で、生徒は数学の問題集を開いていました。
一問目を解きます。
二問目に入ったところで、鉛筆が止まりました。
そのまま机の横に置いてあったスマートフォンへ手を伸ばします。
🔵 講師
「ちょっと待った。」
🔴 学習者
「え?」
🔵 講師
「今、何してた?」
🔴 学習者
「スマホです。」
🔵 講師
「どうして見ようと思った?」
生徒は少し困った表情をしました。
🔴 学習者
「通知が光ったので。」
🔵 講師
「内容、気になった?」
🔴 学習者
「ちょっと。」
🔵 講師
「この問題を始めてから何分くらい?」
時計を見ると、まだ五分ほどしか経っていませんでした。
生徒はため息をつきました。
🔴 学習者
「やっぱり僕、集中力ないですよね。」
🔵 講師
「本当にそうかな。」
🔴 学習者
「だって五分ですよ。」
🔵 講師
「じゃあ質問してもいい?」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「昨日ゲーム、どれくらいやった?」
生徒は少し笑いました。
🔴 学習者
「二時間くらい。」
🔵 講師
「途中で五分ごとにやめた?」
🔴 学習者
「いや、ずっとやってました。」
🔵 講師
「じゃあ、集中する力がまったくないわけではないよね。」
生徒は黙りました。
🔴 学習者
「確かに。」
私は机の周りを見ました。
スマートフォン。
漫画。
ゲーム機。
数学以外の教科書。
プリント。
筆箱の中には、必要以上にたくさんの文房具。
ベッドもすぐ横にあります。
🔵 講師
「先生だったら、ここで勉強するの結構大変かもしれない。」
🔴 学習者
「え、先生でも?」
🔵 講師
「だって、勉強より面白そうなものがいっぱいある。」
生徒が笑いました。
🔴 学習者
「全部僕の好きなものです。」
🔵 講師
「だから、集中できない原因を全部『自分の意志が弱いから』にしなくてもいい。」
🔴 学習者
「じゃあ何が悪いんですか?」
🔵 講師
「今日はそれを調べてみよう。」
私は机の上のものを、一つずつ確認しました。
🔵 講師
「今、数学をするのに英語の教科書は必要?」
🔴 学習者
「いりません。」
🔵 講師
「漫画は?」
🔴 学習者
「もっといりません。」
🔵 講師
「スマホは?」
🔴 学習者
「計算に使うかもしれません。」
私は笑いました。
🔵 講師
「学校の数学の問題で?」
🔴 学習者
「……使いません。」
🔵 講師
「じゃあ一回、必要なものだけにしてみよう。」
机の上には、
数学のワーク。
ノート。
筆記用具。
教科書。
それだけを残しました。
スマートフォンは、机から少し離れた棚の上へ置きました。
🔴 学習者
「見えるんですけど。」
🔵 講師
「じゃあもっと遠く。」
🔴 学習者
「どこまで?」
🔵 講師
「手を伸ばしても届かないところ。」
最後は部屋の入り口近くへ置きました。
🔴 学習者
「なんか不安です。」
🔵 講師
「何が?」
🔴 学習者
「通知来てたらどうしようって。」
🔵 講師
「15分後に見よう。」
🔴 学習者
「15分だけ?」
🔵 講師
「そう。今日は一時間集中する練習じゃない。」
🔴 学習者
「じゃあ何の練習ですか?」
🔵 講師
「15分集中できる環境をつくる練習。」
生徒は少し安心したようにうなずきました。
「集中力じゃなくて、環境だったのかもしれない」
タイマーを15分に設定しました。
🔵 講師
「じゃあ始めよう。」
一問目。
生徒は順調に解きました。
二問目。
少し考え込みます。
普段なら、ここでスマートフォンへ手が伸びていました。
しかし、手元にはありません。
生徒はもう一度問題文を読みました。
途中式を書き、最後まで解きます。
三問目。
少し難しい問題です。
🔴 学習者
「分からない。」
🔵 講師
「すぐ答え見る?」
🔴 学習者
「いや、もう一回考えます。」
しばらくして、タイマーが鳴りました。
🔵 講師
「終わり。」
生徒は顔を上げました。
🔴 学習者
「え、もう15分?」
🔵 講師
「どうだった?」
🔴 学習者
「いつもより早かったです。」
🔵 講師
「何問できた?」
🔴 学習者
「三問。」
🔵 講師
「途中でスマホ見た?」
🔴 学習者
「見てません。」
🔵 講師
「漫画は?」
🔴 学習者
「見てません。」
🔵 講師
「ベッドに寝た?」
🔴 学習者
「寝てません。」
二人で笑いました。
生徒は少し不思議そうに机を見ました。
🔴 学習者
「先生。」
🔵 講師
「何?」
🔴 学習者
「僕、集中できるんですね。」
🔵 講師
「できたね。」
🔴 学習者
「じゃあ、今まで何だったんですか?」
🔵 講師
「環境の影響も大きかったんじゃないかな。」
私は最初の机と今の机の違いを一緒に確認しました。
余計な教材がない。
漫画が見えない。
スマートフォンが手元にない。
やる問題が決まっている。
終了時間も決まっている。
🔵 講師
「集中力だけを変えたわけじゃないよね。」
🔴 学習者
「周りを変えただけ。」
🔵 講師
「そう。」
🔴 学習者
「でも、これだけで変わるんですね。」
私はタイマーをもう一度15分に設定しようとしました。
すると、生徒が言いました。
🔴 学習者
「先生、20分でもいいですか?」
🔵 講師
「やってみたい?」
🔴 学習者
「15分ならできたので。」
🔵 講師
「じゃあ20分。」
今度は生徒自身が、次に解くページを決めました。
20分後。
最初の15分より少し疲れた様子でしたが、最後まで取り組めました。
🔵 講師
「どう?」
🔴 学習者
「20分もできます。」
🔵 講師
「じゃあ一時間もできる?」
生徒は首を振りました。
🔴 学習者
「それはまだ無理です。」
🔵 講師
「それでいい。」
🔴 学習者
「一時間できなくてもいいんですか?」
🔵 講師
「20分集中できるなら、まずそれを使えばいい。」
私はノートに書きました。
20分勉強 → 5分休憩 → 20分勉強
🔴 学習者
「これなら40分できますね。」
🔵 講師
「ただし、休憩で一つ注意。」
🔴 学習者
「スマホですか?」
🔵 講師
「よく分かったね。」
🔴 学習者
「5分のつもりが20分になるやつ。」
🔵 講師
「そう。」
🔴 学習者
「じゃあ休憩は何すればいいんですか?」
🔵 講師
「水を飲む、立つ、少し伸びる。そんな感じでいい。」
🔴 学習者
「スマホは40分終わるまで?」
🔵 講師
「一度それで試してみよう。」
一週間後。
生徒は少し得意そうに学習記録を見せてくれました。
🔴 学習者
「先生、結構できました。」
🔵 講師
「どれくらい?」
🔴 学習者
「20分を二回できた日が三日ありました。」
🔵 講師
「40分集中できたんだ。」
🔴 学習者
「途中で5分休みましたけど。」
🔵 講師
「十分だよ。」
🔴 学習者
「でも失敗した日もあります。」
🔵 講師
「どんな日?」
🔴 学習者
「スマホを机の上に置いた日。」
私は笑いました。
🔵 講師
「何が起きた?」
🔴 学習者
「通知が来て、見て、そのまま動画見ました。」
🔵 講師
「何分?」
🔴 学習者
「30分。」
🔵 講師
「それで分かったことは?」
生徒はすぐ答えました。
🔴 学習者
「僕はスマホを近くに置かない方がいい。」
🔵 講師
「大きな発見だね。」
別の日には、リビングで勉強を試しました。
しかし家族がテレビを見ていて、思うように集中できませんでした。
🔵 講師
「どうした?」
🔴 学習者
「最初は我慢してました。」
🔵 講師
「そのあと?」
🔴 学習者
「自分の部屋に移動しました。」
🔵 講師
「勉強は続けられた?」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「前だったら?」
🔴 学習者
「『今日は集中できないからやめよう』ってしてたと思います。」
私はうなずきました。
🔵 講師
「集中できないときに、環境を変えるという選択肢ができたね。」
🔴 学習者
「はい。」
さらに、生徒は自分で机の上を整えるようになりました。
勉強が終わったあと、その日の教材を片付けます。
次の日に使う教材だけを机の横へ置きます。
次にやるページには付箋を貼ります。
🔵 講師
「どうしてそこまでやるようになったの?」
🔴 学習者
「次の日、すぐ始められるからです。」
🔵 講師
「前は?」
🔴 学習者
「ワーク探してるうちに面倒になってました。」
🔵 講師
「始める前の環境も大事だったんだね。」
🔴 学習者
「はい。」
ある日の授業で、生徒は自分から言いました。
🔴 学習者
「先生、ちょっと分かってきました。」
🔵 講師
「何が?」
🔴 学習者
「集中力って、我慢する力だと思ってたんです。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「集中しやすいように、先に邪魔なものをなくす方が楽です。」
私は笑顔でうなずきました。
🔴 学習者
「スマホを横に置いて、『見るな見るな』って我慢するより、最初から別の場所に置けばいい。」
🔵 講師
「そうだね。」
🔴 学習者
「テレビがうるさかったら、静かにしろってイライラするより、自分が移動すればいい。」
🔵 講師
「それも一つの方法。」
🔴 学習者
「疲れて集中できなかったら、20分やって休めばいい。」
🔵 講師
「かなり自分の集中の仕方が分かってきたね。」
その頃には、生徒が家庭学習を始める前に、自分で確認することが増えていました。
スマートフォンは離したか。
机の上は必要なものだけか。
今日やる問題は決まっているか。
何分集中するか。
どこで休憩するか。
以前は、
「今日は集中できるかな。」
と自分の気分に任せていました。
今は、
「どうすれば今日は集中しやすくなるだろう」
と考えてから勉強を始めるようになっていました。
そして、その考え方が身につき始めると、生徒は「集中できた日」と「集中できなかった日」の違いまで、自分で振り返るようになっていったのです。
「集中できた日の共通点が見えてきた」
それから、生徒は一週間の家庭学習について、簡単な記録を残すようになりました。
書く内容は難しいものではありません。
「どこで勉強したか」
「何分くらい集中できたか」
「途中で何が気になったか」
それだけです。
次の授業で、私はその記録を一緒に見ました。
🔵 講師
「月曜日は20分を二回できてるね。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「どこでやった?」
🔴 学習者
「自分の部屋です。」
🔵 講師
「スマホは?」
🔴 学習者
「リビングに置きました。」
🔵 講師
「机の上は?」
🔴 学習者
「数学だけ。」
私は火曜日を見ました。
🔵 講師
「火曜日は10分で終わってる。」
🔴 学習者
「その日はダメでした。」
🔵 講師
「何があった?」
🔴 学習者
「学校から帰ってすぐ勉強しようとしたんですけど、すごく疲れてました。」
🔵 講師
「それで?」
🔴 学習者
「問題を読んでも全然頭に入らなくて。」
🔵 講師
「その日の記録には何て書いてある?」
生徒は自分で読みました。
🔴 学習者
「『眠い。計算ミス多い』。」
🔵 講師
「なるほど。」
水曜日は30分。
木曜日は15分。
金曜日は40分。
一日ずつ見ていくと、少しずつ共通点が見えてきました。
集中できた日は、
スマートフォンが近くにない。
机の上にその日の教材しかない。
何をするか決めてある。
疲れすぎていない。
20分程度で一度休んでいる。
逆に集中できなかった日は、
スマートフォンが手元にある。
何を勉強するか決めていない。
帰宅直後で疲れている。
テレビや家族の会話が気になる。
という特徴がありました。
🔵 講師
「こうやって見るとどう?」
🔴 学習者
「集中できる日って、結構同じですね。」
🔵 講師
「そうだね。」
🔴 学習者
「逆にダメな日も同じ感じ。」
🔵 講師
「ということは?」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「集中力って、その日の運じゃないんですね。」
私は笑顔でうなずきました。
そこで私は、一つ質問しました。
🔵 講師
「じゃあ明日勉強するとしたら、何を準備する?」
🔴 学習者
「スマホを別の部屋に置く。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「机の上は数学だけ。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「最初に20分やる。」
🔵 講師
「疲れてたら?」
🔴 学習者
「ちょっと休んでから始める。」
🔵 講師
「テレビがうるさかったら?」
🔴 学習者
「自分の部屋に移動する。」
私はうなずきました。
以前は、「集中できるかどうか」を自分の気分に任せていました。
今は、集中するための準備を自分で考えています。
しかし、次の週には新しい問題も起こりました。
授業の日、生徒が少し困った表情で言いました。
🔴 学習者
「先生、最初は集中できるんですけど、だんだんダメになります。」
🔵 講師
「どれくらいで?」
🔴 学習者
「30分くらい。」
🔵 講師
「休憩は?」
🔴 学習者
「してません。」
🔵 講師
「どうして?」
🔴 学習者
「せっかく集中してるから、そのままやった方がいいと思って。」
🔵 講師
「結果は?」
🔴 学習者
「後半、全然進みません。」
私はノートを見せてもらいました。
最初のページは丁寧です。
しかし後半になると、途中式が雑になり、計算ミスも増えています。
🔵 講師
「これ、自分で見てどう思う?」
🔴 学習者
「後半ひどいですね。」
🔵 講師
「長く座ることと、長く集中することは同じじゃない。」
🔴 学習者
「じゃあ、途中で休んだ方がいい?」
🔵 講師
「君の場合は、その方が良さそうだね。」
そこで、
20分集中 → 5分休憩 → 20分集中
という流れをもう一度試しました。
ただし今回は、5分休憩の使い方も決めます。
🔵 講師
「休憩で何する?」
🔴 学習者
「スマホ。」
🔵 講師
「それだと戻れそう?」
生徒は笑いました。
🔴 学習者
「多分戻れません。」
🔵 講師
「じゃあ?」
🔴 学習者
「水飲む。」
🔵 講師
「他は?」
🔴 学習者
「ちょっと立つ。」
🔵 講師
「それでやってみよう。」
一週間後。
🔵 講師
「どうだった?」
🔴 学習者
「結構良かったです。」
🔵 講師
「休んだら集中切れなかった?」
🔴 学習者
「逆でした。」
🔵 講師
「逆?」
🔴 学習者
「5分休むと、次の20分の方がちゃんとできました。」
🔵 講師
「長時間我慢して続けるより?」
🔴 学習者
「全然いいです。」
生徒は少し考えてから言いました。
🔴 学習者
「僕、一時間集中できないからダメだと思ってたんです。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「20分を何回かやればいい。」
その考え方ができれば、長時間の家庭学習への心理的な負担も小さくなります。
「集中力がないんじゃなくて、集中する方法を知らなかった」
その後、定期テストが近づきました。
以前なら、生徒は「今日は一時間勉強する」と決め、途中で集中が切れるとそのままスマートフォンを見て終わることが多くありました。
しかし今回は違います。
勉強を始める前に机を整える。
スマートフォンを離す。
最初にやる問題を決める。
20分集中する。
5分休憩する。
必要なら場所を変える。
この流れを自分で行うようになっていました。
ある日の授業で、生徒が学習記録を見せてくれました。
🔴 学習者
「昨日、合計一時間やりました。」
🔵 講師
「一時間ずっと?」
🔴 学習者
「20分を三回です。」
🔵 講師
「休憩入れながら?」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「前の一時間と比べてどう?」
生徒はすぐ答えました。
🔴 学習者
「全然違います。」
🔵 講師
「何が?」
🔴 学習者
「前は一時間机にいただけでした。」
少し笑って続けます。
🔴 学習者
「今は、本当に一時間くらい勉強した感じがします。」
テストが終わり、結果が返ってきました。
点数も少し上がっていましたが、生徒が一番喜んだのは別のことでした。
🔴 学習者
「先生、テスト中も前より集中できました。」
🔵 講師
「何か工夫した?」
🔴 学習者
「家で勉強するときに、問題を一つずつ集中して解くようになったからかもしれません。」
🔵 講師
「途中で気が散ったら?」
🔴 学習者
「一回問題から目を離して、また戻りました。」
私はうなずきました。
家庭学習で自分の集中状態を意識するようになったことで、テスト中にも「集中し直す」という感覚が少し身についてきたのです。
授業の最後に、私は尋ねました。
🔵 講師
「最初の頃、何て言ってたか覚えてる?」
🔴 学習者
「『僕は集中力がない』。」
🔵 講師
「今もそう思う?」
生徒は少し考えました。
🔴 学習者
「集中力がすごくあるとは思いません。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「でも、ないわけでもない。」
🔵 講師
「じゃあ何が違ったんだろう。」
生徒は机の周りを見ました。
🔴 学習者
「集中する方法を知らなかったんだと思います。」
🔵 講師
「例えば?」
🔴 学習者
「スマホを離す。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「机の上を少なくする。」
🔵 講師
「うん。」
🔴 学習者
「やることを決める。」
🔵 講師
「他は?」
🔴 学習者
「20分やったら休む。」
🔵 講師
「場所がうるさかったら?」
🔴 学習者
「移動する。」
🔵 講師
「疲れてたら?」
🔴 学習者
「休んでからやる。」
私は笑顔で答えました。
🔵 講師
「かなり自分の扱い方が分かってきたね。」
生徒は少し笑いました。
🔴 学習者
「自分の扱い方って変な言い方ですね。」
🔵 講師
「でも勉強では結構大事だよ。」
それから生徒は、勉強を始める前に短い確認をするようになりました。
「スマホは離したか」
「机は大丈夫か」
「今日やることは決まっているか」
「何分やるか」
「疲れていないか」
その確認に必要なのは、ほんの一、二分です。
しかし、その一、二分によって、その後の20分、40分の中身が大きく変わります。
🔴 学習者
「先生、前は集中するって、ずっと問題だけを見ることだと思ってました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「集中できるように準備することも入ると思います。」
🔵 講師
「先生もそう思う。」
🔴 学習者
「それなら、自分でも変えられますね。」
その言葉には、最初に「五分も集中できません」と話していたときの諦めはありませんでした。
おわりに
集中力は、本人の性格だけで決まるものではありません。
スマートフォンが目の前にある。
漫画やゲームが視界に入る。
机の上に必要のないものが多い。
周囲の音が気になる。
疲れている。
一時間休まず続けようとしている。
こうした条件が重なれば、誰でも集中しにくくなります。
だからこそ、
「自分には集中力がない」
と決めつける前に、
「集中しやすい条件は何だろう」
と考えてみることが大切です。
今回の生徒も、最初から集中力そのものが大きく変わったわけではありません。
変えたのは環境でした。
スマートフォンを離す。
机の上を整える。
勉強内容を一つに絞る。
時間を20分程度に区切る。
休憩を入れる。
集中できない場所なら移動する。
そして、集中できた日とできなかった日の違いを振り返る。
その積み重ねによって、
「集中できるかどうかは、その日の気分次第」
ではなく、
「自分で集中しやすい状態をつくることができる」
という感覚が育っていきました。
もちろん、毎日同じように集中できるわけではありません。
疲れている日もあります。
気分が乗らない日もあります。
予定どおりに進まない日もあります。
そんなときは、時間を短くする。
少し休む。
場所を変える。
別の勉強に切り替える。
自分の状態に合わせて調整すればいいのです。
集中力とは、何時間も気合で机に向かい続ける力だけではありません。
自分が集中しやすい環境を知り、必要に応じてその環境を自分で整えられる力でもあります。
その力が身についていけば、家庭学習は「集中できるかどうかに賭ける時間」ではなく、自分で学習の質を高めていける時間へと変わっていくのです。
理論編はこちらから
⑫ 集中力を上げる環境づくり(理論編)
はじめに 「うちの子は集中力がなくて、すぐ勉強をやめてしまいます。」 家庭教師として保護者の方と話していると、このような相談を受けることがあります。 机に向かったと思ったら、数分後にはスマートフォンを触っている。 問題を […]


