- 1. はじめに
- 2. 「時間がない」の中身を確認する
- 3. 一時間ではなく「15分」を探す
- 4. 「すき間時間」に向いている勉強を知る
- 5. 集中が必要な勉強には「まとまった時間」を使う
- 6. 「空いたら勉強する」では時間はできにくい
- 7. 毎日同じ時間でなくてもいい
- 8. 「最低ライン」を決めておく
- 9. スマートフォンを「悪者」にしない
- 10. 「休む時間」も予定に入れる
- 11. 睡眠時間を削ってはいけない
- 12. 「朝型」「夜型」にこだわりすぎない
- 13. 勉強時間は「教科ごと」に分ける
- 14. 「勉強を始めるまでの時間」を減らす
- 15. 部活動がある日は「短くても続ける」
- 16. 休日にすべてをまとめない
- 17. 家庭教師がいる日は「勉強時間」だけではなく「計画時間」にする
- 18. 一週間単位で考える
- 19. 「できた時間」を記録する
- 20. 勉強時間より「集中した時間」を見る
- 21. 「忙しいからできない」を「忙しい日はどうする」に変える
- 22. 時間管理そのものが「学ぶ力」になる
- 23. おわりに
- 23.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

「勉強した方がいいのは分かっているけれど、時間がありません。」
家庭教師として生徒と話していると、このような言葉を聞くことがあります。
学校から帰る。
部活動がある。
宿題がある。
夕食を食べる。
お風呂に入る。
少し休みたい。
スマートフォンも見たい。
ゲームもしたい。
気が付けば、もう寝る時間になっている。
こうした生活を送っていれば、「勉強する時間なんてない」と感じるのも無理はありません。
しかし、勉強時間は最初からどこかに空いているものではありません。
生活の中から、自分でつくっていくものです。
だからといって、睡眠時間を削ったり、好きなことをすべて我慢したりする必要はありません。
大切なのは、一日の過ごし方を一度整理し、「どこなら無理なく勉強を入れられるか」を見つけることです。
家庭学習が続く子は、特別に時間が多いわけではありません。
限られた時間の使い方を少しずつ工夫しています。
今回は、忙しい毎日の中で無理なく勉強時間をつくる考え方についてお話しします。
「時間がない」の中身を確認する
「時間がない」と感じたら、最初にすることがあります。
それは、一日の時間の使い方を確認することです。
例えば学校から帰宅してから寝るまでに、
- 休憩
- スマートフォン
- 動画
- ゲーム
- 食事
- 入浴
- 宿題
などに、どれくらい時間を使っているでしょうか。
ここで重要なのは、
「ゲームは悪い」
「スマートフォンは禁止」
と考えることではありません。
まず事実を知ることです。
例えば、
「スマートフォンは30分くらい」
と思っていたのに、実際には一時間半使っていた。
「少し休憩してから勉強する」
つもりが、一時間以上休んでいた。
このようなことは珍しくありません。
自分が何にどれくらい時間を使っているのかが分かれば、
「ここから15分なら勉強に使えそうだ」
という場所も見えてきます。
一時間ではなく「15分」を探す
家庭学習を始めようとすると、
「一時間くらい勉強できる時間をつくらないと意味がない」
と考える子がいます。
しかし、毎日の生活の中に突然一時間の空白をつくるのは簡単ではありません。
そこで考え方を変えます。
一時間を探すのではなく、
15分、20分の小さな時間を探す
のです。
例えば、
学校へ行く前に10分。
夕食前に15分。
お風呂の前に10分。
寝る前に15分。
これらを合わせれば、40分、50分になります。
勉強時間は、一度にまとめなくても構いません。
短い時間を組み合わせることで、必要な学習時間をつくることができます。
「すき間時間」に向いている勉強を知る
短い時間で何をするかも大切です。
15分しかないのに、難しい数学の文章問題に取り組むと、問題を理解したところで時間が終わってしまうことがあります。
一方、
- 英単語を確認する
- 漢字を覚える
- 社会の用語を確認する
- 理科の重要語句を覚える
- 前日に間違えた問題を一問解き直す
といった学習なら、短時間でも取り組めます。
つまり、勉強には、
「まとまった時間に向いているもの」
と、
「すき間時間に向いているもの」
があります。
それを分けることで、時間を使いやすくなります。
集中が必要な勉強には「まとまった時間」を使う
一方で、
- 数学の応用問題
- 英語の長文
- 国語の読解問題
- 理科の計算問題
などは、ある程度まとまった時間が必要です。
このような学習は、
「夕食後の30分」
「休日の午前中」
など、比較的集中しやすい時間へ回します。
すべての勉強を同じ時間帯にやろうとする必要はありません。
短時間でできる学習と、集中が必要な学習を分ける。
これだけでも、時間の使い方は大きく変わります。
「空いたら勉強する」では時間はできにくい
勉強時間がつくれない子の中には、
「時間が空いたら勉強しよう」
と考えている子がいます。
しかし、生活の中で自然に大きな空き時間が生まれることは、あまりありません。
時間が空けば、
動画を見る。
スマートフォンを触る。
ゲームをする。
横になる。
別の予定が入る。
ということが起こります。
そこで、
勉強時間を先に予定へ入れる
ことが大切です。
例えば、
「19時から19時30分は数学」
と先に決めます。
その時間を空き時間にするのではなく、最初から勉強の予定として確保します。
「時間が余ったから勉強する」
のではなく、
「勉強する時間を先に確保して、残りの時間を使う」
という考え方です。
毎日同じ時間でなくてもいい
学習習慣をつくるために、
「毎日19時から勉強する」
と決める方法は有効です。
しかし、学校生活は毎日同じではありません。
部活動が長い日。
習い事がある日。
早く帰れる日。
休日。
それぞれ生活リズムが違います。
だから、
「毎日必ず同じ時間でなければならない」
と考える必要はありません。
例えば、
月曜日は19時。
火曜日は20時。
水曜日は18時30分。
というように変わっても構いません。
大切なのは、
その日のどこで勉強するかを先に決めておくこと
です。
「最低ライン」を決めておく
忙しい日には、予定していた30分を確保できないこともあります。
そんなとき、
「今日は30分できないから、何もしない」
となってしまうのはもったいありません。
そこで、
「最低10分」
などの最低ラインを決めておきます。
普段は30分。
忙しい日は10分。
余裕がある日は一時間。
このように調整します。
家庭学習は、毎日同じ量をこなす必要はありません。
長く続けるためには、生活に合わせて強弱をつけることも重要です。
スマートフォンを「悪者」にしない
勉強時間について話すと、必ずと言っていいほどスマートフォンの問題が出てきます。
確かに、動画やSNSを見始めると、気付かないうちに時間が過ぎることがあります。
しかし、
「スマートフォンを全部禁止すれば解決する」
とは限りません。
強い制限は反発につながることもあります。
それよりも、
「勉強が終わったら見る」
「30分勉強したあと20分見る」
「勉強中は別の部屋へ置く」
など、使い方のルールを決める方が現実的です。
大切なのは、スマートフォンを使わない人生をつくることではありません。
自分で時間をコントロールできるようになることです。
「休む時間」も予定に入れる
勉強時間を増やそうとして、休憩をすべて削ってしまうことがあります。
しかし、学校から帰ってすぐに何時間も勉強するのは難しい子もいます。
疲れている状態で無理に机へ向かっても、集中できないことがあります。
そこで、
「帰宅後30分休む」
と最初から決めても構いません。
大切なのは、
30分休むつもりが二時間になることを防ぐことです。
休むことそのものは悪くありません。
休憩の始まりと終わりを決めること
が重要なのです。
睡眠時間を削ってはいけない
「勉強時間を増やしたいから、夜遅くまで勉強する」
という方法は、一見頑張っているように見えます。
しかし、睡眠不足になれば、翌日の学校で集中できなくなることがあります。
勉強時間を増やすために睡眠を削り、学校の授業が頭に入らなくなれば、本末転倒です。
勉強時間をつくるときは、
睡眠時間を削る前に、その他の時間の使い方を見直す
ことが大切です。
学力を伸ばすためには、勉強だけでなく、生活全体を整える必要があります。
「朝型」「夜型」にこだわりすぎない
「朝に勉強した方がいいですか?」
という質問を受けることがあります。
朝に集中できる子もいます。
一方、朝が苦手で、夜の方が集中できる子もいます。
大切なのは、
「朝だから正しい」
「夜だから悪い」
ということではありません。
自分が比較的集中しやすく、継続できる時間を見つけることです。
ただし、夜型の場合も、睡眠時間を削らない範囲で考える必要があります。
勉強時間は「教科ごと」に分ける
一時間勉強すると決めても、
「何をするか」
が曖昧だと、時間をうまく使えません。
例えば、
30分は数学。
20分は英語。
10分は暗記。
というように分けます。
また、
数学30分と決めるだけでなく、
「学校ワークの間違い直し」
まで決めれば、さらに始めやすくなります。
時間と内容をセットにすると、迷う時間が減ります。
「勉強を始めるまでの時間」を減らす
勉強時間を増やすためには、実際に勉強している時間だけでなく、
始めるまでにかかっている時間
を見ることも重要です。
例えば、
机を片付ける。
教材を探す。
筆記用具を探す。
何をするか考える。
こうしたことで10分、20分使っている場合があります。
そこで、
教材を一か所にまとめる。
次にやるページへ付箋を貼っておく。
机の上を簡単にしておく。
前日のうちに翌日の内容を決めておく。
こうした準備をするだけで、すぐに勉強を始められます。
勉強時間をつくるというのは、単に時計の中に時間を見つけることではありません。
勉強を始めやすい状態をつくることでもあるのです。
部活動がある日は「短くても続ける」
部活動をしている生徒の場合、
「部活があるから平日は勉強できない」
という悩みがあります。
確かに、帰宅が遅くなると長時間の学習は難しくなります。
そんな日は、短時間で構いません。
例えば、
英単語10分。
数学の間違い直し一問。
学校の授業を5分振り返る。
これだけでもいいのです。
そして休日に、まとまった時間を使って補います。
平日と休日で同じ量をやる必要はありません。
一週間全体で考えることが大切です。
休日にすべてをまとめない
「平日は忙しいから、土日に全部やればいい」
と考えることがあります。
しかし、平日にまったく触れず、休日に何時間もまとめてやると、負担が大きくなります。
また、学校で習った内容を忘れてから復習することになります。
そこで、
平日は短く。
休日は少し長く。
という形にします。
例えば、
平日20分。
土曜日一時間。
日曜日一時間。
このように一週間全体で学習時間を設計します。
家庭教師がいる日は「勉強時間」だけではなく「計画時間」にする
家庭教師を利用している場合、指導時間を問題演習だけに使う必要はありません。
例えば授業の最後に、
「次の一週間で何をするか」
を一緒に決めます。
月曜日は数学。
火曜日は英単語。
水曜日は学校ワーク。
木曜日は休み。
金曜日は復習。
このように整理します。
すると、生徒は次の日から、
「今日は何をしよう」
と迷わずに始められます。
家庭教師の役割は、授業時間だけ勉強させることではありません。
一週間全体の学び方を整えること
にもあります。
一週間単位で考える
毎日完璧に勉強できなくても問題ありません。
例えば、
月曜日は30分。
火曜日は部活で10分。
水曜日は40分。
木曜日はできなかった。
金曜日は20分。
土曜日は一時間。
日曜日は一時間。
これでも一週間ではかなりの学習時間になります。
一日できなかっただけで、
「今週は失敗だった」
と考える必要はありません。
一週間全体を見て、
「どこで取り戻せるか」
を考えます。
時間管理も勉強と同じで、計画どおりにいかなければ修正すればいいのです。
「できた時間」を記録する
勉強時間をつくれるようになってきたら、簡単に記録するのもおすすめです。
ただし、
「毎日二時間できなかったから×」
という評価にする必要はありません。
例えば、
月 25分
火 15分
水 30分
木 0分
金 20分
と記録します。
すると、
「今週は合計90分できた」
と分かります。
来週は、
「あと30分増やしてみよう」
と考えられます。
記録の目的は、自分を責めることではありません。
自分の時間の使い方を知り、改善することです。
勉強時間より「集中した時間」を見る
机に一時間座っていても、途中で何度もスマートフォンを見たり、ぼんやりしたりしていれば、実際に集中した時間は短いかもしれません。
反対に、20分だけでも集中して取り組めれば、しっかり学習できます。
そのため、
「一時間机に座る」
より、
「25分集中する」
という考え方もできます。
勉強時間をつくる目的は、長く机に座ることではありません。
学力につながる時間を増やすことです。
「忙しいからできない」を「忙しい日はどうする」に変える
家庭学習を続けていると、必ず忙しい日があります。
そこで、
「今日は忙しいからできない」
で終わるのではなく、
「忙しい日は何ならできるか」
と考えます。
30分が無理なら10分。
数学が無理なら英単語。
問題集が無理なら教科書を読む。
完全にゼロにする前に、小さくできることを探します。
この考え方が身につけば、予定が変わっても学習を続けやすくなります。
時間管理そのものが「学ぶ力」になる
勉強時間をつくることは、単なるスケジュール管理ではありません。
自分の一日を振り返る。
優先順位を考える。
必要な時間を確保する。
計画どおりにいかなければ修正する。
こうした経験そのものが、自分で学ぶ力につながります。
将来、受験や資格試験に挑戦するときにも、
「毎日どれくらい勉強すればいいか」
「仕事や学校とどう両立するか」
を考える必要があります。
つまり、今家庭学習の時間をつくる練習は、将来の自己管理の練習でもあるのです。
おわりに
勉強時間は、「時間が余ったら生まれるもの」ではありません。
自分の生活を見直し、必要な時間を少しずつ確保することでつくられます。
最初から一時間、二時間を用意する必要はありません。
15分でもいい。
10分でもいい。
まず、自分の一日の中に「勉強する時間」を置いてみる。
そして、
短時間でできる勉強。
まとまった時間にする勉強。
平日にする勉強。
休日にする勉強。
それぞれを分けて考えます。
スマートフォンやゲームをすべて禁止する必要もありません。
休憩時間をなくす必要もありません。
睡眠を削る必要もありません。
大切なのは、
自分の生活を守りながら、学習のための時間を自分で確保できるようになることです。
今日一日の予定を見て、
「どこなら15分取れるだろう」
と考えてみる。
そこが、勉強時間をつくる最初の一歩です。
そして、その15分を実際に使う経験を重ねることで、
「時間がないから勉強できない」
という状態から、
「限られた時間の中でも、自分で勉強する時間をつくれる」
という状態へ少しずつ変わっていくのです。
実際の例はこちらから
⑩ 勉強時間の作り方(実践編)
はじめに 「先生、勉強した方がいいのは分かっています。でも、本当に時間がないんです。」 家庭教師として生徒と話していると、このような相談を受けることがあります。 学校から帰れば疲れている。 部活動もある。 宿題もある。 […]


