- 1. はじめに
- 2. 集中力は「本人の性格」だけで決まらない
- 2.1. 集中できない原因を先に探す
- 2.2. 集中力は消耗する
- 2.3. 「集中できる時間」を知る
- 3. 机の周りから「気が散る原因」を減らす
- 3.1. 机の上には「今使うもの」だけを置く
- 3.2. 「片付けること」が目的ではない
- 3.3. 教材を探す時間も集中を切る
- 4. スマートフォンとの距離を決める
- 4.1. 「見ないようにする」だけでは難しい
- 4.2. 物理的に離す
- 4.3. 必要な場合だけ使う
- 4.4. スマートフォンを禁止することが目的ではない
- 5. 集中する時間と休む時間をセットにする
- 5.1. 最初は短くてもいい
- 5.2. 休憩でスマートフォンを見ると戻れないこともある
- 5.3. 疲れた状態で無理に続けない
- 6. 自分に合う集中環境を試しながらつくる
- 6.1. 静かな方がいいとは限らない
- 6.2. 勉強内容によって環境を変える
- 6.3. 集中できた条件を記録してみる
- 6.4. 保護者は「集中しなさい」より環境を一緒に考える
- 7. おわりに
- 7.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

「うちの子は集中力がなくて、すぐ勉強をやめてしまいます。」
家庭教師として保護者の方と話していると、このような相談を受けることがあります。
机に向かったと思ったら、数分後にはスマートフォンを触っている。
問題を一問解いただけで立ち上がる。
周りの音が気になり、なかなか勉強が進まない。
こうした様子を見ると、
「もっと集中しなさい」
「本人にやる気がないのでは」
と考えてしまうかもしれません。
しかし、集中力は本人の意志だけで決まるものではありません。
勉強する場所。
机の上にあるもの。
スマートフォンとの距離。
周囲の音。
勉強を始めるまでの準備。
休憩の取り方。
こうした環境によって、集中しやすさは大きく変わります。
つまり、集中力を上げるためには、
「もっと頑張って集中する」よりも、「集中しやすい状態を先につくる」
という考え方が大切です。
今回は、家庭学習で集中力を高めるために、どのような環境を整えればよいのかを考えていきます。
集中力は「本人の性格」だけで決まらない
「この子は集中力がない」
と言われる子でも、好きなゲームなら一時間続けられたり、興味のある本なら夢中で読めたりすることがあります。
つまり、集中する能力そのものがまったくないとは限りません。
集中できない原因を先に探す
勉強中に集中できないとき、
「なぜ集中できないのか」
を確認することが大切です。
例えば、
- スマートフォンの通知が気になる
- 周囲がうるさい
- 教材が多すぎて何から始めるか分からない
- 難しすぎる問題をやっている
- 疲れている
- 勉強時間が長すぎる
など、原因はさまざまです。
原因が環境にあるのに、
「もっと集中しなさい」
と言うだけでは、なかなか改善しません。
集中力は消耗する
最初の10分は集中できても、30分、40分と続くうちに注意が散ってくることがあります。
それは珍しいことではありません。
集中力を、
「長時間ずっと同じ状態で保たなければならない」
と考える必要はありません。
大切なのは、
集中できる時間を上手に使い、必要に応じて休憩すること
です。
「集中できる時間」を知る
30分なら集中できる子。
15分がちょうどいい子。
45分でも続けられる子。
個人差があります。
だから、「必ず一時間勉強する」という形に合わせるより、
「自分は何分なら集中できるか」
を見つける方が現実的です。
短時間でも集中できれば、学習の質は高くなります。
机の周りから「気が散る原因」を減らす
集中力を上げるために最も取り組みやすいのが、勉強する場所の整理です。
大掛かりな模様替えをする必要はありません。
まずは、目の前から不要なものを減らします。
机の上には「今使うもの」だけを置く
勉強机の上に、
数学のワーク。
英語の教科書。
理科のプリント。
漫画。
ゲーム。
学校からの配布物。
さまざまなものが置かれていると、それだけ注意が散りやすくなります。
数学を勉強するなら、
数学のワーク。
ノート。
筆記用具。
必要なら教科書。
まずはこれくらいで十分です。
勉強中に必要のないものは、見えない場所へ移しておきます。
「片付けること」が目的ではない
ここで誤解してほしくないのは、
「机を完璧にきれいにしなければ勉強できない」
ということではありません。
整理整頓そのものが目的ではないのです。
目的は、
注意を勉強以外へ向けるものを減らすこと
です。
片付けに30分使って、勉強する時間がなくなってしまっては意味がありません。
教材を探す時間も集中を切る
勉強を始めようとしたとき、
「あれ、数学のワークどこだっけ」
となると、それだけで流れが止まります。
そこで、
- 教材を一か所へまとめる
- 次にやるページへ付箋を貼る
- 筆記用具の場所を決める
- 前日のうちに翌日の教材を準備する
といった工夫が役立ちます。
勉強は、「始めるまで」が意外に大変です。
だから、すぐ始められる環境をつくることが集中力にもつながります。
スマートフォンとの距離を決める
家庭学習で集中を妨げやすいものとして、スマートフォンがあります。
スマートフォンそのものが悪いわけではありません。
問題は、勉強中に何度も注意がそちらへ移ってしまうことです。
「見ないようにする」だけでは難しい
机の横にスマートフォンを置いたまま、
「絶対に見ない」
と決めても、通知が来れば気になります。
通知が来なくても、
「何か来ているかもしれない」
と考えてしまうことがあります。
そこで、意志の力だけに頼らない工夫をします。
物理的に離す
例えば、
- 別の部屋へ置く
- カバンの中へ入れる
- 家族に一時的に預ける
- 手が届かない場所へ置く
という方法があります。
勉強中に簡単に手が届かない状態にするだけでも、気が散る回数を減らせます。
必要な場合だけ使う
学習アプリや辞書、動画教材など、スマートフォンを勉強に使う場合もあります。
その場合は、
「調べるときだけ使う」
「動画一本を見たら机から離す」
というように目的を決めます。
勉強用に開いたはずが、気付けば別の動画やSNSを見ていた、という状態をできるだけ防ぎます。
スマートフォンを禁止することが目的ではない
最終的に必要なのは、
自分で使う時間をコントロールできる力
です。
ずっと大人が取り上げ続けることが目標ではありません。
最初は環境の力を借りながら、少しずつ自分で管理できるようにしていきます。
集中する時間と休む時間をセットにする
集中力を上げようとして、
「一度座ったら一時間動かない」
と考える必要はありません。
むしろ、集中できる時間を区切った方が取り組みやすい子もいます。
最初は短くてもいい
例えば、
20分勉強。
5分休憩。
もう一度20分勉強。
このように区切ります。
「一時間頑張ろう」
と思うと重く感じる子でも、
「まず20分だけ」
なら始めやすくなります。
休憩でスマートフォンを見ると戻れないこともある
5分休憩のつもりでスマートフォンを触り、
気付けば20分経っていた。
これはよくあります。
短い休憩では、
- 水を飲む
- 少し立つ
- ストレッチする
- 窓の外を見る
- トイレへ行く
といった休み方もあります。
スマートフォンやゲームを使うなら、「戻る時間」を決めておくことが大切です。
疲れた状態で無理に続けない
問題文を何度読んでも頭に入らない。
計算ミスが急に増えた。
同じ行を何度も読んでいる。
こうしたときは、集中力が落ちている可能性があります。
そんな状態で30分続けるより、5分休んでから再開した方がよい場合もあります。
勉強時間の長さではなく、
集中できている時間を増やすこと
を考えます。
自分に合う集中環境を試しながらつくる
集中できる環境には個人差があります。
だから、一度決めた方法が合わなくても問題ありません。
試して、変えていけばいいのです。
静かな方がいいとは限らない
完全に無音の方が集中できる子もいます。
反対に、少し生活音がある方が落ち着く子もいます。
リビングの方が勉強を始めやすい。
自室の方が深く考えられる。
図書館なら長時間集中できる。
それぞれ違います。
大切なのは、
「一般的に良い環境」
ではなく、
自分が実際に集中できた環境
を知ることです。
勉強内容によって環境を変える
暗記ならリビング。
数学の応用問題なら静かな自室。
休日の長時間学習なら図書館。
という使い分けもできます。
集中力を上げるというと、「一つの理想的な勉強部屋をつくる」と考えがちですが、必ずしも一か所に固定する必要はありません。
集中できた条件を記録してみる
例えば一週間、
「場所」
「時間」
「何分集中できたか」
を簡単に記録してみます。
すると、
「夕食前の方が集中できる」
「リビングでは暗記が進む」
「自室ではスマホを外に置けば集中できる」
といった傾向が見えてきます。
これは、自分自身の学び方を知るための大切な情報です。
保護者は「集中しなさい」より環境を一緒に考える
子どもが集中できていないと、
「ちゃんと集中しなさい」
と言いたくなることがあります。
しかし、それよりも、
「何が気になる?」
「テレビの音がうるさい?」
「スマホは別の場所へ置いてみる?」
「20分だけにしてみる?」
と、一緒に原因を探した方が改善につながる場合があります。
集中力の問題を、本人の性格だけにしてしまわないことが大切です。
おわりに
集中力を上げるために、強い意志だけに頼る必要はありません。
むしろ大切なのは、
集中しやすい環境を先につくることです。
机の上から不要なものを減らす。
教材をすぐ使える状態にする。
スマートフォンを少し離す。
集中する時間を短く区切る。
休憩の取り方を決める。
勉強内容に合わせて場所を変える。
こうした工夫の一つひとつは、小さなものです。
しかし、その小さな工夫によって、
「集中できないから勉強できない」
という状態から、
「この環境なら20分は集中できる」
という状態へ変えていくことができます。
最初から一時間集中できなくても構いません。
まず15分。
次は20分。
少しずつ、自分が集中しやすい条件を見つけていけばいいのです。
そして大切なのは、
「自分には集中力がない」
と決めつけないことです。
場所を変えたら集中できるかもしれない。
スマートフォンを離したら続くかもしれない。
勉強時間を短くしたら始めやすいかもしれない。
環境を変えることで、行動は変えられます。
集中力とは、気合だけで生み出すものではありません。自分が集中しやすい状態を、自分で整えていく力でもあるのです。
実際の例はこちらから
⑫ 集中力を上げる環境づくり(実践編)
はじめに 「先生、僕って集中力がないんだと思います。」 家庭教師として生徒と話していると、このような言葉を聞くことがあります。 机には向かっている。 勉強する気もある。 それなのに、数分するとスマートフォンを見てしまう。 […]


