- 1. はじめに
- 2. 勉強場所で大切なのは「どこか」より「勉強できるか」
- 2.1. 「勉強机がある=勉強できる」ではない
- 2.2. 集中できる場所は子どもによって違う
- 2.3. 「長く座れる場所」より「集中できる場所」
- 3. 自分の部屋とリビング、それぞれの特徴を知る
- 3.1. 自分の部屋で勉強するメリット
- 3.2. 自分の部屋には誘惑も多い
- 3.3. リビング学習のメリット
- 3.4. リビングにも弱点がある
- 4. 図書館・自習室・カフェなど「家以外」も選択肢になる
- 4.1. 図書館は集中するきっかけをつくりやすい
- 4.2. 塾や学校の自習スペースも活用できる
- 4.3. カフェは合う子と合わない子がいる
- 4.4. 場所を一つに固定する必要はない
- 5. 集中できる勉強場所は「環境づくり」で変わる
- 5.1. 机の上に必要なものだけを置く
- 5.2. スマートフォンは「意志」だけに頼らない
- 5.3. 教材を探す時間をなくす
- 5.4. 明るさや姿勢も確認する
- 5.5. 家族も「集中できる環境」をつくる
- 6. 自分に合う勉強場所は「試して決める」
- 6.1. 一週間ずつ試してみる
- 6.2. 勉強内容によって場所を変えてもいい
- 6.3. 成長に合わせて場所を変える
- 6.4. 「一番集中できる場所」より「一番続けられる場所」
- 7. おわりに
- 7.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

「勉強するなら、自分の部屋が一番いいのでしょうか?」
「リビング学習の方が成績は上がりますか?」
「図書館で勉強した方が集中できますか?」
家庭学習について考えるとき、「どこで勉強するか」は意外に重要な問題です。
同じ30分でも、集中できる場所で勉強するのと、何度も気が散る場所で勉強するのとでは、中身が大きく変わります。
だからといって、
「勉強は必ず自分の部屋でするべき」
あるいは、
「リビング学習が一番いい」
と一つに決めることはできません。
子どもの性格、年齢、勉強内容、家庭環境によって、集中しやすい場所は違うからです。
大切なのは「一般的に良いとされる場所」を探すことではありません。
その子が実際に勉強を始めやすく、集中しやすく、続けやすい場所を見つけることです。
今回は、家庭学習の場所をどのように考えればよいのかを、具体的に見ていきます。
勉強場所で大切なのは「どこか」より「勉強できるか」
勉強場所について考えると、
「自分の部屋」
「リビング」
「図書館」
「塾の自習室」
など、場所そのものに目が向きます。
しかし、本当に考えたいのは、
その場所で実際に勉強できているか
です。
「勉強机がある=勉強できる」ではない
立派な学習机が自分の部屋にあっても、
スマートフォンを見る。
漫画を読む。
ベッドに横になる。
ゲームを始める。
という状態なら、必ずしも良い勉強場所とは言えません。
反対に、リビングの小さなテーブルでも、30分集中して勉強できるなら、その子にとっては良い学習環境かもしれません。
重要なのは設備の豪華さではありません。
「そこへ行けば自然に勉強を始められる」
という状態をつくることです。
集中できる場所は子どもによって違う
静かな場所の方が集中できる子もいます。
多少生活音があった方が落ち着く子もいます。
一人の方が集中できる子もいれば、家族の目がある方が勉強を始めやすい子もいます。
だから、
「○○で勉強するのが正解」
と決めるのではなく、
「この子はどこなら集中しやすいか」
と考える必要があります。
「長く座れる場所」より「集中できる場所」
自分の部屋で一時間机に座っていても、そのうち30分スマートフォンを見ているなら、実際の学習時間は短くなります。
一方、リビングで25分集中して問題を解けたなら、その25分の方が価値がある場合があります。
家庭学習では、
何時間その場所にいたかではなく、どれだけ学習できたか
を見ることが大切です。
自分の部屋とリビング、それぞれの特徴を知る
家庭で勉強する場合、大きく分けると「自分の部屋」と「リビング」が候補になります。
どちらにも長所と短所があります。
自分の部屋で勉強するメリット
自分の部屋の大きなメリットは、静かな環境をつくりやすいことです。
家族の会話やテレビの音などから離れられるため、集中しやすい子もいます。
特に、
数学の応用問題。
国語の長文読解。
英語長文。
理科の計算問題。
など、ある程度じっくり考える必要がある学習には向いています。
また、自分で時間を決め、自分で机へ向かえるようになってくれば、「一人で学習する力」を育てる場所にもなります。
自分の部屋には誘惑も多い
一方、自分の部屋には勉強以外のものもあります。
スマートフォン。
ゲーム。
漫画。
ベッド。
パソコン。
こうしたものが目に入ると、
「少しだけ休憩しよう」
と思ったまま、勉強へ戻れなくなることがあります。
特に家庭学習の習慣がまだ十分に身についていない段階では、一人きりの部屋が必ずしも集中しやすいとは限りません。
リビング学習のメリット
リビングには家族がいるため、
「勉強を始めるきっかけをつくりやすい」
というメリットがあります。
例えば、
「夕食前に20分勉強する」
という習慣なら、リビングのテーブルですぐ始めることができます。
自分の部屋まで行き、机を片付け、教材を準備する必要もありません。
また、分からないことがあったとき、保護者にちょっと確認できる安心感もあります。
家庭学習を始めたばかりの子には、リビングの方が取り組みやすい場合もあります。
リビングにも弱点がある
当然ながら、リビングには生活音があります。
テレビ。
家族の会話。
料理の音。
兄弟姉妹の声。
こうした音が気になる子には、集中しにくい場所になることがあります。
また、家族が頻繁に、
「そこ間違ってるよ」
「もっと丁寧に書きなさい」
「ちゃんと勉強してる?」
と声をかけると、かえって集中できなくなることもあります。
リビング学習では、子どもが勉強している間の家族の関わり方も重要なのです。
図書館・自習室・カフェなど「家以外」も選択肢になる
家庭学習というと「家で勉強すること」だと思われがちですが、必ずしも自宅だけに限定する必要はありません。
集中できるのであれば、家以外の場所も利用できます。
図書館は集中するきっかけをつくりやすい
図書館の良いところは、
「周囲の人も静かに読書や勉強をしている」
という環境です。
家ではなかなか机に向かえない子でも、図書館へ行けば自然と教材を開けることがあります。
また、
「図書館に行く=勉強する」
という行動のスイッチをつくりやすい点もメリットです。
ただし、図書館によっては学習できる席や利用方法に決まりがあります。
利用するときには、その施設のルールを確認する必要があります。
塾や学校の自習スペースも活用できる
利用できる環境があるなら、塾や学校の自習スペースも選択肢になります。
特に、
「家に帰ると気が抜けてしまう」
という子には、
帰宅する前に勉強を済ませる
方法が合う場合があります。
例えば、
学校終了
↓
自習スペースで30分
↓
帰宅
↓
自由時間
という流れです。
家で「勉強しなければ」と考え続けるより、帰宅前に終わらせてしまった方が気持ちが楽になる子もいます。
カフェは合う子と合わない子がいる
カフェで勉強すると集中できる人もいます。
多少の話し声や環境音がある方が落ち着く人もいるからです。
一方で、周囲の会話が気になったり、人の出入りが気になったりする子には向きません。
また、店舗によって長時間の勉強や席の利用に関する考え方は異なります。
その場所のルールや混雑状況への配慮も必要です。
「カフェなら集中できるはず」と決めるのではなく、実際に自分が勉強できるかを見ることが大切です。
場所を一つに固定する必要はない
「勉強場所は一か所に決めた方がいい」
と思うかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
例えば、
普段の宿題はリビング。
数学の応用問題は自分の部屋。
休日の長時間学習は図書館。
テスト前は自習室。
というように、目的によって使い分けても構いません。
勉強内容に合わせて場所を選ぶことも、学習方法の一つなのです。
集中できる勉強場所は「環境づくり」で変わる
どこで勉強するかを決めたら、次はその場所を「勉強しやすい環境」に整えます。
同じ机でも、環境によって集中しやすさは変わります。
机の上に必要なものだけを置く
机の上に、
漫画。
ゲーム機。
スマートフォン。
学校からのお知らせ。
関係のない教材。
いろいろなものが置かれていると、注意が散りやすくなります。
勉強を始めるときは、
教科書。
ワーク。
ノート。
筆記用具。
など、その時間に必要なものを中心にします。
「片付けること」が目的ではありません。
勉強以外のものへ注意が向きにくい状態をつくること
が目的です。
スマートフォンは「意志」だけに頼らない
勉強中、
「スマホを見ないようにしよう」
と思っていても、通知が来れば気になります。
一度確認しただけのつもりが、そこから動画やSNSを見続けてしまうこともあります。
そこで、
机から離れた場所へ置く。
家族に一時的に預ける。
通知を切る。
必要な場合だけ使う。
など、最初から見にくい環境をつくります。
これは意志が弱いからではありません。
集中しやすい環境を自分でつくる工夫です。
教材を探す時間をなくす
「さあ勉強しよう」
と思ったのに、
数学のワークがない。
筆記用具が見つからない。
プリントがどこにあるか分からない。
これだけで、やる気が下がることがあります。
勉強に使う教材を一か所にまとめておけば、すぐ始められます。
前日のうちに、
「明日はこのページ」
と付箋を貼っておく方法もあります。
勉強場所とは、単に座る場所ではありません。
勉強をすぐ始められる仕組みまで含めた環境と考えるとよいでしょう。
明るさや姿勢も確認する
暗い場所や、無理な姿勢で長時間勉強するのは避けたいところです。
机と椅子を使い、教材を見やすい状態にします。
特にベッドの上で勉強すると、休む場所と勉強する場所の区別がつきにくくなり、そのまま横になってしまう子もいます。
できれば、
「ここでは勉強する」
という場所をつくっておくと、行動を切り替えやすくなります。
家族も「集中できる環境」をつくる
子どもがリビングで勉強している場合、保護者ができることもあります。
例えば、集中している最中に何度も声をかけない。
間違いを見つけても、すぐ横から指摘しない。
勉強時間中だけテレビの音量を少し下げる。
こうした小さな配慮です。
子どもが自分から勉強を始めたときには、
「ちゃんとやりなさい」
よりも、
「自分から始められたね」
と、その行動を認める方が次の学習につながりやすくなります。
自分に合う勉強場所は「試して決める」
最終的に大切なのは、自分に合う場所を見つけることです。
そのためには、実際に試してみるのが一番分かりやすい方法です。
一週間ずつ試してみる
例えば、
一週間はリビング。
次の一週間は自分の部屋。
休日は図書館。
というように試します。
そして、
「どこが一番始めやすかったか」
「どこが一番集中できたか」
「どこなら続けられそうか」
を比べます。
感覚だけではなく、
「30分予定して何分集中できたか」
を見るのも一つの方法です。
勉強内容によって場所を変えてもいい
英単語の暗記ならリビングでもできる。
しかし数学の難しい問題は静かな自室の方がいい。
こういう子もいます。
それなら無理に一か所へ統一する必要はありません。
例えば、
リビング=宿題・暗記
自分の部屋=数学・読解
図書館=休日のまとまった学習
と役割を決めてもよいでしょう。
成長に合わせて場所を変える
小学生の頃はリビングで保護者の近くにいた方が安心して勉強できた子でも、中学生、高校生になるにつれて、一人の方が集中しやすくなることがあります。
反対に、中学生でも自室ではスマートフォンやゲームに気を取られるので、リビングの方が学習しやすい子もいます。
「中学生になったから自分の部屋」
というように、年齢だけで決める必要はありません。
その時点で最も学習しやすい場所を選べばいいのです。
「一番集中できる場所」より「一番続けられる場所」
理想的な学習環境を求めすぎると、
「今日は家族がいるから無理」
「図書館へ行けないから今日は勉強できない」
となることがあります。
これでは、場所が学習を妨げる原因になってしまいます。
100点の環境でなくても構いません。
少し生活音があっても20分集中できる。
机が小さくてもすぐ教材を開ける。
そうした場所なら、十分に使えます。
家庭学習では、
完璧な場所を探すことより、実際に続けられる場所をつくること
の方が大切です。
おわりに
「勉強場所はどこがいいですか?」
この質問に、すべての子どもに共通する一つの答えはありません。
自分の部屋が合う子もいます。
リビングが合う子もいます。
図書館や自習室の方が集中できる子もいます。
さらに、勉強内容によって場所を使い分けた方がよい場合もあります。
だからこそ、
「どこが一番良いといわれているか」
ではなく、
「自分はどこなら実際に勉強できるのか」
を考えてみてください。
そのためには、実際に試します。
始めやすかったか。
集中できたか。
続けられたか。
スマートフォンを何度も見なかったか。
勉強以外のことに気を取られなかったか。
こうした点を確認します。
そして必要なら、机の上を整える。
スマートフォンを離す。
教材をまとめる。
家族にも協力してもらう。
環境を少しずつ変えていきます。
良い勉強場所とは、立派な机が置いてある場所でも、完全に静かな場所でもありません。
「ここへ来たら勉強を始められる」と思える場所です。
その場所が一つ見つかれば、家庭学習を始めるまでの負担は小さくなります。
そして、
「今日はどこで勉強しよう」
と迷う時間も減っていきます。
家庭学習を続けるためには、勉強方法だけでなく、勉強する環境を整えることも大切です。
自分に合う場所を見つけることもまた、自分に合った学び方を身につけていく一つの方法なのです。
実際の例はこちらから
⑪ 勉強場所はどこがいい?(実践編)
はじめに 「自分の部屋に勉強机があるんだから、そこで勉強しなさい」 家庭では、ごく自然にこんな会話が交わされることがあります。 確かに、自分の部屋には机があります。 教科書もあります。 学校のワークもあります。 静かなの […]


