- 1. はじめに
- 2. 家庭教師の時間だけで成績を伸ばそうとしない
- 2.1. 家庭教師は「勉強そのもの」だけをする人ではない
- 2.2. 「教わる2時間」から「一週間を変える2時間」へ
- 3. 「分からない」を家庭教師に持っていく
- 3.1. 分からない問題には印を付ける
- 3.2. 「何が分からないか」を伝える
- 3.3. 「質問すること」は恥ずかしいことではない
- 4. 答えではなく「考え方」を持ち帰る
- 4.1. 説明を聞くと分かったように感じる
- 4.2. 教えてもらった直後に自分で解く
- 4.3. 「なぜそうするのか」を聞く
- 5. 家庭教師には「勉強方法」も相談する
- 5.1. 「何時間やればいいですか?」だけで終わらない
- 5.2. 学習記録を見せる
- 5.3. テスト答案は重要な教材になる
- 6. 最終目標は「家庭教師がいなくても勉強できること」
- 6.1. 何でも先生に聞けばいい状態にしない
- 6.2. 少しずつ生徒自身に決めてもらう
- 6.3. 家庭教師は「伴走者」と考える
- 7. おわりに
- 7.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

家庭教師をつければ、それだけで成績が上がる。
もしそうであれば、家庭教師を始めた子は全員すぐに成績が伸びるはずです。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
同じ週1回、同じ120分の指導を受けていても、その時間をどのように使うかによって得られるものは大きく変わります。
家庭教師が来る日にだけ勉強する。
分からない問題はすべて先生に解いてもらう。
宿題を出されても次の授業までやらない。
先生が説明してくれるのを聞くだけ。
これでは、家庭教師の時間が「その場で問題を解く時間」だけになってしまいます。
一方で、
「今週ここが分からなかった」
「この問題は自分でやったけれど解けなかった」
「前回教えてもらった方法でここまでできた」
と、自分の学習と家庭教師の指導をつなげられるようになると、同じ指導時間でも意味が変わってきます。
家庭教師の役割は、ただ問題の答えを教えることではありません。
子どもが一人で勉強している時間まで含めて、学習の進め方を整えていくことです。
そして最終的に目指したいのは、
「先生がいないと勉強できない」
という状態ではありません。
「先生に教えてもらったことを使って、自分で勉強できる」
という状態です。
今回は、家庭教師という存在を最大限に活用するために、どのような考え方が必要なのかを整理していきます。
家庭教師の時間だけで成績を伸ばそうとしない
例えば、家庭教師の授業が週1回120分だったとします。
一週間は168時間あります。
その中の2時間だけです。
もちろん、その2時間には大きな意味があります。
しかし、残りの時間をまったく勉強せず、家庭教師の2時間だけですべてを解決しようとするのには限界があります。
家庭教師は「勉強そのもの」だけをする人ではない
家庭教師というと、
「分からない問題を教える人」
というイメージが強いかもしれません。
もちろん、それも大切な役割です。
しかし、それだけではありません。
例えば、
どこでつまずいているのかを見つける。
何から復習すればいいかを決める。
勉強方法を修正する。
一週間の学習内容を考える。
テスト前の優先順位を決める。
勉強した結果を振り返る。
こうしたことも家庭教師の重要な役割です。
「教わる2時間」から「一週間を変える2時間」へ
家庭教師を最大限活用するためには、
家庭教師の授業時間だけを見るのではなく、その指導によって次の一週間をどう変えるか
を考えることが大切です。
例えば授業の最後に、
「次回までに数学のワークをここまでやる」
「英単語を一日10個確認する」
「間違えた問題には印を付ける」
と決めます。
次の授業では、その結果を確認します。
すると、
家庭教師の指導
↓
一人で家庭学習
↓
結果を確認
↓
家庭教師が修正
↓
もう一度家庭学習
という流れが生まれます。
この循環ができると、家庭教師の時間は単なる「週1回の授業」ではなくなります。
「分からない」を家庭教師に持っていく
家庭教師を有効に活用できる子は、すべてを先生任せにするのではなく、
自分でやってみて分からなかったところを持ってくる
ようになります。
分からない問題には印を付ける
家庭学習をしていて、
「この問題が分からない」
となったとき、そのまま何十分も悩み続ける必要はありません。
もちろん、少し考えることは大切です。
しかし、どうしても分からなければ、
「?」
「△」
などの印を付けておきます。
そして家庭教師が来たときに質問します。
これだけでも授業の効率はかなり変わります。
「何が分からないか」を伝える
さらに一歩進むと、
「この問題が分かりません」
だけではなく、
「ここまでは分かります」
「この式になる理由が分かりません」
「公式は分かるけれど、どの公式を使えばいいのか分かりません」
と伝えられるようになります。
すると、家庭教師もつまずいている部分を見つけやすくなります。
質問を作ったり、自分の疑問を具体化したりすることは、学習内容をより深く捉えることにもつながり得ます。中学生を対象にした研究でも、質問生成への働きかけが学習中の情報処理や理解を促す可能性が示されています。
「質問すること」は恥ずかしいことではない
勉強が苦手な子の中には、
「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」
「前にも教えてもらったから聞きにくい」
と感じる子もいます。
しかし、家庭教師にとって、
どこが分からないのかが分かること自体が重要な情報
です。
「分かりません」と言えることは、学習を進めるための一つの力です。
答えではなく「考え方」を持ち帰る
家庭教師の授業で最も注意したいことの一つが、
先生の説明を聞いて「分かった気になる」こと
です。
説明を聞くと分かったように感じる
家庭教師が問題を解きます。
途中式を書きます。
丁寧に説明します。
生徒は、
「なるほど」
と言います。
しかし、翌日に同じような問題を一人で解いてみると、
「どうやるんだっけ?」
となることがあります。
これは珍しいことではありません。
先生の説明を理解することと、自分で解けることは同じではないからです。
教えてもらった直後に自分で解く
そこで大切なのが、
説明を聞いたあと、自分の手でもう一度解くこと
です。
家庭教師が解いた問題を見ながら終わるのではなく、
類題を解く。
一度ノートを閉じて解き直す。
自分の言葉で説明する。
こうした確認をします。
「分かった」
から、
「自分でできる」
へ変えるためです。
「なぜそうするのか」を聞く
例えば数学なら、
「この公式を使います」
だけで終わらず、
「なぜこの問題ではこの公式なのか」
まで理解します。
英語なら、
「この答えになります」
ではなく、
「なぜこの語順になるのか」
を確認します。
大切なのは答えそのものより、
次の問題にも使える考え方を持ち帰ること
です。
そうすれば、家庭教師がいない時間にも同じ方法を使えるようになります。
家庭教師には「勉強方法」も相談する
家庭教師に相談してよいのは、教科の問題だけではありません。
むしろ、
「勉強しているのに伸びない」
という場合には、勉強方法そのものを見直すことが重要です。
「何時間やればいいですか?」だけで終わらない
例えば、
「毎日一時間勉強しています」
という子がいたとします。
それでも成績が伸びない。
その場合、
何をしているのか。
どの問題を解いているのか。
間違えたあとどうしているのか。
暗記はどのようにしているのか。
スマートフォンを見ながらやっていないか。
こうしたところまで確認する必要があります。
時間だけでは学習の中身は分かりません。
学習記録を見せる
家庭教師に、
「今週これをやりました」
と見せられるものがあると、指導しやすくなります。
例えば、
学校のワーク。
間違えた問題。
小テスト。
定期テスト。
学習記録。
こうしたものです。
結果だけでなく学習の過程を見ることで、
「ここをもっと復習しよう」
「この方法は続けよう」
「ここはやり方を変えよう」
と具体的な修正ができます。
学習状況に応じたフィードバックを受けながら、学習者自身が振り返り、次の学習を調整していく考え方は、自己調整学習の研究でも重視されています。
テスト答案は重要な教材になる
テストが返ってきたら、
「70点だった」
だけで終わらせないことです。
どこを間違えたのか。
知識不足なのか。
計算ミスなのか。
問題文の読み違いなのか。
時間不足なのか。
家庭教師と一緒に確認します。
理解状況やつまずきを具体的に診断し、その情報を学習改善に使うフィードバックには、特に学習が苦手な生徒の学習改善を促す可能性も報告されています。
点数そのものより、
「次は何を変えるか」
まで考えることが重要です。
最終目標は「家庭教師がいなくても勉強できること」
家庭教師を最大限活用するうえで、最も大切にしたい考え方があります。
それは、
家庭教師に依存しすぎないこと
です。
何でも先生に聞けばいい状態にしない
分からない問題が出た瞬間に、
「先生、これ分かりません」
となる。
宿題も、
「何をやればいいですか?」
と毎回聞く。
勉強時間も、
「先生が決めてください」
となる。
最初のうちは、それでも構いません。
勉強のやり方が分からない子には、大人の支援が必要です。
しかし、ずっとその状態のままでは、自分で学習を進める力が育ちません。
少しずつ生徒自身に決めてもらう
最初は家庭教師が、
「今日は数学をやろう」
と決めます。
慣れてきたら、
「今日は何をやった方がいいと思う?」
と聞きます。
最初は、
「次回までにこのページをやってね」
と宿題を決めます。
慣れてきたら、
「次の一週間で、どこまでならできそう?」
と本人に考えてもらいます。
このように少しずつ、
先生が決める学習から、自分で決める学習へ
移していきます。
自分の学習状況を見て、計画し、実行し、振り返って修正する力は、自己調整学習の中心となる考え方です。学習の計画を可視化し、途中で修正する取り組みが中学生の自己調整学習に関連したという報告もあります。
家庭教師は「伴走者」と考える
家庭教師がずっと前から引っ張り続けるのではありません。
子どもが自分で歩けるようになるまで、
横で方向を確認する。
間違った方向へ行きそうなら修正する。
困ったときには助ける。
うまくいった方法は一緒に確認する。
そういう存在です。
家庭教師がいるから勉強する。
ではなく、
家庭教師と一緒に、自分の勉強方法を作っていく。
この考え方が重要です。
おわりに
家庭教師を最大限活用するために必要なのは、授業回数を増やすことだけではありません。
家庭教師がいる時間と、いない時間をつなげることです。
家庭学習で分からなかった問題に印を付ける。
家庭教師に質問する。
教えてもらったら、自分でもう一度解く。
一週間の勉強方法を相談する。
実際にやってみる。
次の授業で結果を確認する。
うまくいかなければ修正する。
この繰り返しによって、家庭教師の指導は「その場だけの授業」ではなくなります。
そして、保護者の方にも覚えておいてほしいことがあります。
家庭教師をつけたからといって、
「先生に全部任せれば大丈夫」
というわけではありません。
反対に、
「せっかく家庭教師をつけたのだから、毎日何時間も勉強しなさい」
と子どもへ求めすぎる必要もありません。
大切なのは、家庭教師・子ども・家庭が、
今どこで困っていて、次に何を変えるのか
を共有することです。
家庭教師の価値は、目の前の一問を解けるようにすることだけではありません。
「なぜ間違えたのか」
「どう勉強すればいいのか」
「次の一週間は何をするのか」
「前回より何ができるようになったのか」
を一緒に考えながら、子ども自身が学習を調整できるようにしていくことにもあります。
最初は、
「何を勉強すればいいか分からない」
という状態でも構いません。
家庭教師と一緒に決めればいい。
次は、二つの選択肢から自分で選ぶ。
その次は、自分で一週間の計画を考える。
少しずつできることを増やしていけばいいのです。
家庭教師を最大限活用した先に目指したいのは、
「良い先生がいないと勉強できない子」ではありません。
「良い先生から学びながら、やがて自分で勉強を進められる子」です。
家庭教師に教えてもらうことは、ゴールではありません。
そこで身につけた考え方や勉強方法を、先生がいない時間にも使えるようにする。
それができたとき、週に一度の家庭教師の時間が、一週間全体の学びを変える時間になっていくのです。
実際の例はこちらから
⑮ 家庭教師を最大限活用する方法(実践編)
はじめに 「家庭教師をつければ、成績は上がりますか?」 保護者の方から、このような質問を受けることがあります。 もちろん、家庭教師をつけることで、分からない問題を質問できるようになります。 苦手なところを個別に教えてもら […]


