- 1. はじめに
- 2. 家庭学習は「学校の勉強とは別のもの」ではない
- 3. 最初にやるべきことは「現状を知ること」
- 4. まずは学校の教材から始める
- 5. 今日から始めるなら「10分」でいい
- 6. 「いつやるか」を決める
- 7. 「何をやるか」も前もって決めておく
- 8. 「できる問題」だけを繰り返さない
- 9. 答えを見て「分かった」で終わらせない
- 10. 分からない問題で止まり続けない
- 11. 家庭教師を利用するなら「一週間の学習」まで考える
- 12. 保護者が毎日「勉強しなさい」と言わなくてもよい仕組みをつくる
- 13. 一週間に一度、振り返る
- 14. 最初の一週間はこれだけでもいい
- 15. 家庭学習で一番大切なのは「自分でできる」を増やすこと
- 16. 今日の10分が最初の一歩になる
- 17. おわりに
- 17.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに

「家庭学習が大切なのは分かっています。でも、何から始めればいいのでしょうか」
家庭教師として生徒や保護者の方と話していると、このような相談を受けることがあります。
毎日勉強した方がいい。
復習した方がいい。
苦手なところをやり直した方がいい。
頭では分かっていても、いざ家庭学習を始めようとすると、
「何をやればいいのか」
「何分くらいやればいいのか」
「どの教科から始めればいいのか」
が分からない。
その結果、立派な学習計画を立てるだけで終わってしまったり、最初から頑張りすぎて数日で続かなくなったりすることがあります。
家庭学習を始めるときに大切なのは、完璧な計画をつくることではありません。
今日、実際に一つ行動することです。
一時間できなくても構いません。
五教科すべてを勉強する必要もありません。
まず10分。
まず一問。
まず一ページ。
そこから始めればいいのです。
家庭学習は、特別な勉強法ではありません。
学校で習ったことを、自分の力に変えていくための時間です。
そして、その時間を少しずつ生活の中につくることが、成績を伸ばす最初の一歩になります。
家庭学習は「学校の勉強とは別のもの」ではない
家庭学習という言葉を聞くと、
「学校の宿題とは別に、さらにたくさん勉強しなければならない」
と考える子がいます。
しかし、家庭学習の目的は、単純に勉強量を増やすことではありません。
学校で習った内容を、
「聞いたことがある」
から、
「自分一人でもできる」
へ変えていくことです。
学校の授業では、先生の説明を聞きます。
例題を一緒に解きます。
そのときには、
「分かった」
と思います。
しかし家に帰って、何も見ずに同じような問題を解こうとすると、
「あれ、どうやるんだっけ?」
となることがあります。
これは珍しいことではありません。
授業を聞いて理解することと、自分一人でできることは同じではないからです。
家庭学習には、この二つの間を埋める役割があります。
最初にやるべきことは「現状を知ること」
家庭学習を始めようとすると、
「とりあえず問題集を買おう」
「参考書を最初のページからやろう」
と考えることがあります。
しかし、その前に確認してほしいことがあります。
今、自分は何ができて、何ができていないのか。
これを知ることです。
例えば、最近返された数学のテストを見てみます。
計算問題はできている。
方程式もある程度できている。
でも文章問題はほとんど間違えている。
それなら、数学を最初から全部やり直す必要はないかもしれません。
英語なら、
単語はある程度覚えている。
文法問題もできている。
しかし長文になると読めない。
その場合も、単語帳を最初から全部やり直すより、文章を読む練習を増やした方がよい可能性があります。
家庭学習は、
「何となく勉強する時間」
ではありません。
自分に必要なところへ時間を使うための時間です。
まずは学校の教材から始める
家庭学習を始めるために、新しい教材をたくさん買う必要はありません。
むしろ、最初は学校で使っている教材を活用した方が分かりやすい場合があります。
教科書。
学校のワーク。
プリント。
小テスト。
定期テスト。
これらの中には、家庭学習に使える材料がたくさんあります。
特におすすめなのが、
一度間違えた問題をもう一度解くこと
です。
新しい問題を10問解くより、以前できなかった問題を三問できるようにする方が、学力向上につながることがあります。
家庭学習では、
「何ページ進んだか」
だけを見るのではなく、
「何ができるようになったか」
を見ることが重要です。
今日から始めるなら「10分」でいい
これまで家庭学習をほとんどしていなかった子が、
「今日から毎日二時間勉強する」
と決めても、長く続かないことがあります。
もちろん二時間できれば立派です。
しかし、最初に必要なのは長時間勉強することではありません。
家庭学習を始めることに慣れることです。
そこで、最初は10分程度から始めても構いません。
例えば、
数学の問題を二問解く。
英単語を10個確認する。
学校で今日習ったところを教科書で読み直す。
昨日間違えた問題を一問解き直す。
これだけでも家庭学習です。
10分できたら、その日は成功です。
「もっとできそうだ」
と思えば続けても構いません。
しかし、
「10分しかできなかった」
と考える必要はありません。
ゼロだった家庭学習が10分になった。
まずはその変化を大切にします。
「いつやるか」を決める
「毎日勉強しよう」
という目標だけでは、実際の行動につながらないことがあります。
なぜなら、
「いつやるのか」
が決まっていないからです。
学校から帰ったらやろう。
時間ができたらやろう。
夜になったらやろう。
これでは、始めるタイミングが曖昧です。
そこで、生活の中の行動と家庭学習を結びつけます。
例えば、
「帰宅して30分休憩したら10分勉強する」
「夕食の前に数学を二問解く」
「お風呂の前に英単語を確認する」
というようにします。
毎日の生活には、ある程度決まった流れがあります。
その流れの中に家庭学習を入れることで、
「いつ始めよう」
と迷う時間を減らせます。
「何をやるか」も前もって決めておく
机に座ったあと、
「さて、何を勉強しよう」
と考え始めると、それだけで時間が過ぎてしまうことがあります。
特に勉強が苦手な子の場合、
数学もやらなければならない。
英語も苦手。
理科の宿題もある。
社会も覚えていない。
と考えているうちに、嫌になってしまうことがあります。
だから家庭学習を始める前に、
最初にやることを一つだけ決めておく
のがおすすめです。
「今日は数学のワーク15ページの①と②」
「今日は英単語を10個」
というように、具体的にします。
「数学を勉強する」
より、
「数学のワークを二問解く」
の方が行動しやすくなります。
「できる問題」だけを繰り返さない
家庭学習で注意したいことがあります。
それは、できる問題ばかりを解いて満足してしまうことです。
できる問題を解けば、丸がたくさん付きます。
気分もよくなります。
しかし、成績を伸ばすためには、
できない問題を、できる問題へ変えること
が必要です。
例えば10問解いて、
7問正解。
3問不正解。
だったとします。
大切なのは、その3問です。
なぜ間違えたのか。
計算ミスなのか。
公式を忘れていたのか。
問題文の意味が分からなかったのか。
そこを確認します。
そして、もう一度解きます。
この「間違い直し」が家庭学習の中心になってくると、勉強の質が大きく変わります。
答えを見て「分かった」で終わらせない
間違えた問題の解説を読むと、
「ああ、そういうことか」
と分かることがあります。
しかし、そこで終わってはいけません。
解説を閉じて、もう一度自分で解いてみます。
できれば、その日は一歩前進です。
できなければ、もう一度確認すればいい。
さらに翌日や数日後に、もう一度同じ問題を解いてみる。
家庭学習で大切なのは、
理解したことを、自分で使える状態にすること
です。
「説明を読めば分かる」
から、
「何も見なくてもできる」
へ。
その変化をつくるのが家庭学習です。
分からない問題で止まり続けない
家庭学習をしていると、どうしても分からない問題が出てきます。
そこで30分、40分と一問だけを考え続けてしまう子もいます。
もちろん、自分で考える時間は必要です。
しかし、分からない問題だけで学習時間が終わってしまうと、家庭学習そのものが嫌になってしまうことがあります。
そこで、
「まず自分で考える」
「教科書やノートを確認する」
「似た問題を探す」
それでも分からなければ、
「質問する問題として印を付ける」
という方法があります。
学校の先生や家庭教師に聞くために、分からない問題を残しておくのです。
分からないことは失敗ではありません。
どこが分からないか分かることも、学習の成果の一つです。
家庭教師を利用するなら「一週間の学習」まで考える
家庭教師の授業が週に一回だとします。
その一回だけ勉強して終わりでは、十分とは言えません。
家庭教師との授業で、
今週できなかったところを確認する。
必要な内容を教わる。
次の一週間で何をするか決める。
そして一人で取り組む。
次の授業で、その結果を確認する。
この流れをつくります。
つまり家庭教師の授業は、一週間の学習の「中心点」として使うことができます。
家庭教師がいる時間だけ勉強するのではありません。
家庭教師との授業を使って、一人で勉強する時間の質を高めていくのです。
保護者が毎日「勉強しなさい」と言わなくてもよい仕組みをつくる
家庭学習を始めるとき、保護者の関わり方も重要です。
毎日、
「勉強した?」
「宿題終わった?」
「早くやりなさい」
と確認し続けると、親子ともに疲れてしまうことがあります。
そこで、
「夕食前の10分」
「数学二問」
「できたらカレンダーに○」
というように、本人とルールを決めます。
できたかどうかを本人が記録する。
保護者は毎回細かく監視するのではなく、
「今日は自分から始められたね」
「一週間続いたね」
と変化を見る。
家庭学習の最終目標は、
親に言われなくても、自分で学習できること
です。
そのため、少しずつ本人に任せる範囲を増やしていくことが大切です。
一週間に一度、振り返る
家庭学習を始めたら、計画を守ることだけに集中する必要はありません。
一週間ほど経ったら、振り返ります。
例えば、
「何日できたか」
「どの時間帯なら始めやすかったか」
「10分では短かったか、長かったか」
「どの教科を優先した方がよいか」
「できなかった日はなぜできなかったか」
を確認します。
もし毎日30分という計画が続かなかったなら、
「自分はダメだ」
ではなく、
「20分に変えてみよう」
と考えます。
夕食後では眠くなるなら、
「夕食前に変えてみよう」
と修正します。
家庭学習は、一度決めた計画を絶対に守ることではありません。
自分が続けられる方法を探しながら調整していくことも大切なのです。
最初の一週間はこれだけでもいい
これから家庭学習を始めるなら、最初から複雑な計画をつくる必要はありません。
例えば最初の一週間は、
① 毎日同じくらいの時間に机に向かう
② 10~20分だけ取り組む
③ 学校で習った内容を中心にする
④ 間違えた問題を一問は解き直す
⑤ できた日は記録する
これだけでも十分です。
一週間続いたら、次に考えます。
「もう少し時間を増やせそうか」
「英語も入れた方がよいか」
「苦手な単元を復習した方がよいか」
最初から完成した家庭学習を目指す必要はありません。
続けながら、自分に合う形へ育てていけばいいのです。
家庭学習で一番大切なのは「自分でできる」を増やすこと
家庭学習の目的は、勉強時間を記録することではありません。
机に長く座っていることでもありません。
最も大切なのは、
昨日できなかったことが、今日は少しできるようになること
です。
昨日覚えていなかった単語を覚えた。
昨日間違えた計算ができた。
授業では分からなかった問題を解けた。
一人ではできなかった問題が、一人でできるようになった。
この小さな変化を積み重ねます。
そうすると、家庭学習は、
「やらなければならないもの」
から、
「自分のできることを増やす時間」
へ変わっていきます。
今日の10分が最初の一歩になる
家庭学習を始めるために、
「来週から」
「次のテストから」
「新しい問題集を買ってから」
と待つ必要はありません。
今日から始められます。
学校のワークを開く。
最近間違えた問題を一問選ぶ。
10分だけ取り組む。
それだけで構いません。
大切なのは、
「完璧に始めること」
ではなく、
**「実際に始めること」**です。
家庭学習が苦手な子ほど、最初から大きな目標を立てる必要はありません。
むしろ、
「これなら今日できる」
という小さな行動を選ぶことが大切です。
その一回が二回になる。
二回が一週間になる。
一週間が一か月になる。
そして、いつの間にか、
「勉強しなければならない」
ではなく、
「この時間になったら勉強する」
という生活に変わっていきます。
おわりに
家庭学習を始めるときに必要なのは、特別な教材でも、完璧な計画でもありません。
まず、自分が今どこで困っているのかを知る。
学校の教材を使う。
10分程度から始める。
いつやるかを決める。
何をやるかを具体的に決める。
間違えた問題をやり直す。
分からない問題は質問できるようにしておく。
そして、一週間ごとに自分に合う方法へ修正していく。
これだけでも、家庭学習は始められます。
最初から毎日二時間勉強できなくても問題ありません。
一日できなかったからといって、すべてが失敗になるわけでもありません。
大切なのは、できるところから始め、続けながら少しずつ良くしていくことです。
今日10分勉強しただけでは、明日の成績は大きく変わらないかもしれません。
しかし、その10分の中で一問できるようになれば、昨日の自分より一つ前へ進んでいます。
家庭学習とは、その小さな「できる」を毎日の生活の中で増やしていくことです。
「勉強しなければ」と考え続けるだけでは、何も変わりません。
まず教材を開く。
まず一問解いてみる。
まず10分だけやってみる。
成績を変える家庭学習は、「いつか」ではなく「今日」の小さな一歩から始まります。
実際の例はこちらから
⑨ 今日から始める家庭学習(実践編)
はじめに 「家でも勉強した方がいいのは分かっています。でも、何をやったらいいのか分かりません」 家庭教師として生徒と話していると、このような言葉を聞くことがあります。 勉強する気持ちがまったくないわけではありません。 む […]


